見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

狩撫麻礼・作/嶺岸信明・画「オールドボーイ ルーズ戦記」1〜4

10数年前まではよく読んでいた狩撫麻礼原作の漫画。
特に谷口ジロー・画の作品は何度も読んだ。

諸事情もあり漫画を読むことが少なくなり
今回は「タコポン」以来の狩撫麻礼原作漫画のような気がする。
理由は知らないが、土屋ガロン名義となっている。

この漫画は、韓国で映画化され、カンヌ映画祭で審査委員大賞を受賞しているので、
映画との違いを含め、原作者の世界がどう変わったか以前から興味があった。

かつて読んでいたときには気付かなかったのだが、
あまりの読みやすさに驚いた。
さくさくとページが進んでいく。
読みやすさ、理解のしやすさは抜群だ。

シナリオ、作劇術の本、小池一夫のキャラクター論の本を読んで
そのことに初めて気付いた。
シーンのつなぎ方、謎の提示、キャラの立て方、意表をついた展開
などなど
小池一夫、脚本指南書が書いていたことをきっちりと実行している。
エンターテインメント作品として楽しめる内容に仕上がっている。

以前は、作品にある狩撫節ともいえる“はぐれ者”的な世界観に惹かれていたのだが、
年も取り、多少は作劇的な知識もつくと自分の読み方も変わるものだと思った。



ただ、“あの世界観”は相変わらずではある。
ひとつの世界観に固持しつつも
もう30年以上原作者として書き続けている狩撫麻礼というひとは大したものだと思った。
そして恥ずかしながら私にとっても、いまだその世界観は魅力的である。
↓に続く。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20110816/1313663871