見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

山田順「出版大崩壊 電子書籍の罠」

この人の本を読んだのはおそらく初めてだが、明快な語り口の人ですね。
自分がわかるわからないをはっきりさせた上で、断定していくのでわかりやくすサクサクと読める。
現在80頁くらいまで読んだ。以降は付箋をつけながら今日中に電車、家で読み終えたい。

結局、150頁くらいまでしか読めなかった。
興味深かった点
○ファッション広告の担い手はファストファッションに移った。宝島社の女性誌戦略は価格を下げて部数一番手を維持し、結果「リーチ媒体」(消費者への到達率が高いこと)として広告の落ち込みを防いだ。付録をつけたことですでに雑誌ではなくなっている。宝島の女性誌を買っているのは従来の読者ではない。P82-
○中国のプリントメディアは2桁成長を続けている。一方、電子化も進んでいる。P86-
○日本においては人口減に伴い、読書人口が減っていくことがまず大きな出版衰退の原因となる。なんの産業についてもいえることだが。P92-
○今後の電子出版には3つの方向がある。1つは紙の本をそのままデータ化したもの。2つ目は村上龍電子書籍「歌うクジラ」のように音楽、映像なども組み込んだ複合的なメディアとしての書籍。3つ目は自費出版モデル。ソーシャルメディアと結びつき電子回覧板のようになるもの。既存の出版社としては2つ目にしか活路はない。そしていろいろ理由を述べている。P95-
○電子出版は出版社、取次ぎ、書店などの「中抜き」なメディアになる可能性がある。P99-
○現在日本の電子出版は携帯向け。それも20代向けのエロ漫画が圧倒的に主流。一般書籍を電子化しても売れない。P106-
○本をスキャンしてデータ化。それを読む「自炊」が増えている。「自炊流通」で本が売れなくなる。P122-

驚くべき展開の↓に続く。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20110820/1313847518

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ちょっと笑ってしまったこと。
この本の著者は本のオビはいらないと、強く主張しているのに
このカバー写真みると、デカデカとオビが! 
書いてることと違うやん!!!

出版大崩壊 (文春新書)