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フラワー・トラベリン・バンド『ANYWHERE』

エニウェア

エニウェア

内田裕也がプロデューサーとして世界進出を狙ったバンド、フラワー・トラベリン・バンドのファースト・アルバム。

ジュリアン・コープ「JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー 」を読んでこのバンドに興味を持った

ジュリアン・コープ「JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー 」を読んだ感想メモ04

このアルバムはカバー集といっていいものだが、なかなか面白い。
この作品以降のオリジナル・アルバムと同様、ギターの活躍が目立つ。

収録曲は
1. エニウェア
2. ルイジアナ・ブルース
3. ブラック・サバス
4. 朝日のあたる家
5. 21世紀の狂った男
6. エニウェア

2.「ルイジアナ・ブルース」のイントロはなぜかクラウト・ロックのようである。
それが唐突にブルーズの典型的な展開に切り替わる。不思議な流れだ。
3.「ブラック・サバス」はタイトルどおりのハード・ロック
4.「朝日のあたる家」は小鳥の声など自然音(らしきもの)をバックにアコースティック・ギターの音が流れて始まる。
「ウマグマ」「原子心母」あたりのピンク・フロイドのよう。そこから、有名な旋律にギターが流れていく。
5.「21世紀のスキゾイドマン」はどう演奏していたのか楽しみにしていたのだが、比較的ストレートにカバーしている。
ただ、オリジナルのキング・クリムゾン版と比較して録音技術の差が大きく、仕上がりに見劣り感があることは否めない。
ホーンも入ったオリジナルの太い音からすると、軽く聴こえてしまうのが残念。
ただ、声に強いエフェクトをかけずに雰囲気を出しているジョー山中は見事だ。

全体の印象として、ジャケットも含めて、最初と最後に「ANYWHERE」を配置しているという構成、コンセプトもいい感じである。

2.でブルース
3.でハード・ロック
4.でブリティッシュ・ロック
5.でブログレ
それぞれのカバーをして日本人ロックバンドの力量を示した挨拶状ということなのかもしれない。

そして素っ裸でオートバイにまたがってタイトルは「ANYWHERE(どこだっていい!)」。
「名刺代わり」としては最上級のアルバムだと思う。

また何回か聴くと印象も変わるかもしれない。とりあえずの印象だ。
このバンド、聴く人によって多様なとらえかたをされる奥の深さがあるように思えた。
クラウト・ロックを好きな人も、
アメリカン・ロックを好きな人も、
ハード・ロックヘヴィ・メタルを好む人も、
それぞれが気に入る魅力を持っている。
これって、なかなかのことだと思う。