見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

よしながふみ「西洋骨董洋菓子店」

約10年前に連載されていたコミック。
「大奥」を読み、興味深く思っていたので“代表作”とされるらしいこの作品を読んでみた。

非常に面白かった。
“誰がどうしてどうなる”的な、ストーリー的展開の妙で読ませるものではなく、
キャラクターと作品世界の魅力で読ませる作品という感じだった。
キャラクターの造形が魅力的になれば、物語は自然に転がっていくのでそれにまかせる。
そんな風にも感じられてしまう、いい意味でゆるい作品。
ただ、描く方はそんな簡単なものではないだろうが。

誘拐事件のサスペンス的展開への布石もあったが、あまりそっちに傾かなかったのも結果としてはよかったと思う。

読んで世界に浸るという感じの作品なので、自分としてはメモを書くことはない。
しいて書くとすれば
洋菓子に対するこだわりと詳細な解説、大人の“ボーイズ・ラブ”的世界が特徴といっていいのだろうか。

しかし橘という人は筑波大付属から東大に入学、しかも3年で外交官試験に合格、4年で司法試験に合格というのだからむちゃくちゃ秀才だ。物語が進むにつれそのスーパーマンぶりの描写がエスカレートしていく。

しかし、この著者変なところで細かい描写があって面白い。
ボクシングについてはあまりこだわりはなかったようだが。

フラワー・オブ・ライフ」も読んでみよう。
あと、どうしてこういう世界を描いているのか興味を抱いたので、対談集「あのひととここだけのおしゃべり」と「愛がなくても喰ってゆけます。」も読んでみたい。

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (1) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (2) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (3) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)

西洋骨董洋菓子店 (4) (ウィングス・コミックス)