見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

よしながふみ「こどもの体温」

'97〜'98年に描かれた連作短編をまとめたもの。

2人で暮らす父と子の家族を軸に、彼らの周辺の人物模様がつづられる。
それぞれの登場人物同士の関係性、その変化を繊細なタッチで描いている。

どうやら、よしながふみという人は人間同士の微妙な関係性を描くことにに比重を置く漫画家のようだ。
白い背景をバックに展開する、それぞれの人間ドラマを読み、今さらながらそんなことに気付いた。

よしながは、対談で24年組からの影響を語っているが、この漫画では私はその中でも山岸涼子の作品を連想した。
ただ、もはや手元に山岸涼子の漫画はなく、かつて読んでいたときも漫然と読み、
漫画家の手法の分析をしていたわけではないので、的外れかもしれないが。

10年以上に描かれたものだが、すでに絵、漫画の話法のスタイルは確立している感がある。

食事、ゲイ、法律家というネタは今回も登場した。

上品でクールな漫画である。

こどもの体温 (ウィングス・コミックス)

こどもの体温 (ウィングス・コミックス)