見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

週刊文春1208

P16◆Catch Up 大阪WP選で維新を果たした「なにわの小皇帝」橋下徹、権力への ホップ、ステップ、ジャンプ
→大阪選挙後のグラビア記事。橋下への嫌味たらしい記事を載せ続けていた週刊文春としては、いったいどうしたのかと思えるようなトーンの変化が。
“九時から始まった記者会見。壇上に上がる橋下氏の足取りは軽かった。目指すべきゴールはこの勝利ではない、その言葉を裏付けるかのように。トイレ休憩まではさんで三時間、何十という記者の質問を即座に捌いていくその様は、彼がただ者ではないことを否応なしに感じさせるものだった”などと書いている。
社内の政治的な事情だろうか。それにしても、前号までの酷い記事からここまで変わるかという感じだ。まあ、これからも嫌味な記事は書き続けるとは思うが。

P30◆メルトダウンと戦った指揮官緊急入院! 小誌しか知らない、福島第一原発吉田所長が号泣した日
福島第一原発・吉田所長の入院、所長辞任にからめて過去のエピソードを紹介した記事。原子炉建屋の爆発事故発生後、対処に当たっていた自衛隊、消防部隊は東京電力の対応の遅さにより自衛隊隊員が負傷するなど被害をこうむり、事故対処も進んでいなし状態だった。そんな中、吉田所長に自衛隊と消防の幹部から重要免震棟を表敬訪問したいとの連絡があったという。東電の対応の悪さに対する強い抗議ではと戦々恐々としていた中、訪れた幹部は吉田所長以下、現場で必死に事態の収拾をはかるスタッフを暖かくねぎらったという。東京の東電幹部の心無い態度にやるせない思いを抱いていた吉田所長は、思わずこの言葉に心のたががゆるみ号泣したという。
このこと自体については心打つ話ではあるのだが、その場にいた吉田所長の心を代弁するかのような脚色についてはかなりの強引さがあった。さらに、東電が吉田所長を人身御供にして、しかも作業のためとはいえ重要免棟の扉を開いて被爆させたように取られかねない文の締め方はちょっとまずいのでは。

P37◆ユーロが10年後もあるかわからないよ“投資の神様”インタビュー W・バフェット
→投資家のウォーレン・バフェットが初来日、投資先である福島県いわき市の超硬工具・素材メーカー「タンガロイ」を訪問した際のインタビュー。
「日本にはすばらしい製造力とそれを支えるオペレーションを構築する力がある。また、日本の団結力のある社会構造は他の国に見られない誇れるものだ。こうしたものを発展させていけば、日本は繁栄を維持できるだろう」と語っている。
だが、これって小泉首相以来急速に失われてしまっているような気がするのだが。
また通貨については「通貨は基本的にどの国においても価値が下がっていき、そしていつか死んでいくものだ。それは今後も変わらない」との言葉も興味深かった。

P38◆「日本人の給料」ここまで下がった!−リーマンショックから3年 「年代別」「地域別」全国3万人の衝撃データ公開 「50代管理職」751万円から677万円、「40代男性社員」529万円から485万円に急落
→グラフは色々とあるのだが、それほど読み応えのある記事ではない。紹介されているのは名古屋在住の支社労保健士が独自に集めたデータ。

P49◆芸能 吉川ひなのの結婚式 マスコミ取材禁止 理由は「夫の過去」
0929号でも書かれていた元関東連合の男性との結婚に関しての記事。前回もそうだったが記事はこの男性に対して好意的。得意の皮肉めいたトーンもない。そこから想像するにこの夫はいい人なのではないかと思われる。ひなのの写真についたキャプションも「幸せになってね!」と珍しい。

P54◆今週のBEST10 おすすめの歩数計
歩数計に詳しい専門家から集めたデータを集計したものとのこと。歩数計は、消費カロリーの計測に特化した健康優先タイプ、目標タイム・距離設定ができる運動系のタイプ、シンプルで安価なタイプ、以上3つに大まかに分けられるという。
1位 ウオーク・ノート ジョグプラスWZ540 5,250円
健康、運動の両方の機能があるとのこと。

セイコー(SEIKO) ウオーク・ノート ジョグプラス アッシュブラック  WZ540K

セイコー(SEIKO) ウオーク・ノート ジョグプラス アッシュブラック WZ540K

2位 peb スポーツウォーカー TR10 3,780円
運動系

3位カロリズム DIET AM-130 6,300円
健康系
タニタ(TANITA) 活動量計 カロリズム DIET ブラック AM-130-BK

タニタ(TANITA) 活動量計 カロリズム DIET ブラック AM-130-BK

などなど。記事を見て興味がわいた。1位のを買おうかと思っている。

P58◆本音を申せば 小林信彦 ナタリー・ウッド事件
→30年前にあったアメリカの女優ナタリー・ウッドの水死事件の再捜査が始まることを書いている。私はさすがに世代が違うので事情は全く知らなかったが、彼女が水死する夜、いっしょにいたのは夫のロバート・ワグナーとクリストファー・ウォーケンだったそうだ。小林の文章では夫のワグナーが殺害したととれる文書になっている。

P65◆考えるヒット 近田春夫 
→グレイの新曲について。特に興味深いことはない。

P67◆そのノブは心の扉 劇団ひとり
→自身にふりかかった同性愛疑惑について語る。この文章をそのまま読むと奥さんにすら同性愛疑惑をもたれているということになるのだが……

P84◆新家の履歴書 早川義夫
→鎌倉に家があるが、早稲田で一人暮らしもしているとのこと。
驚くべき発言がある。
「友だちに大変うらやましがられるんですが、うちの女房は、結婚外の恋愛を『歌のためだったら』と奨励してくれてるんですよ。そもそも僕の歌は全部、作り話じゃなくて事実だから、隠していても女房が聴けばバレる。だから、結婚当初から、浮気がバレても喧嘩にはならないって状態が続いてるんです」
この奥さんはすごい人だな。同じ和光大学の一期生だったようだが、ジャックスをやっているときに20歳で結婚、その後音楽を止めたときも、22年間本屋をやっているときも、本屋をたたんで、再び歌手活動を始めたことも認めてきたのだから。離婚もせずに。しかも先の発言だ。早川の才能を本当にかっているのだろう。ちなみにこの記事、なんか文春ぽくないなと思っていたら、文末に、(取材・構成 川崎大助)の文字。なんか文章にロッキン・オン臭を感じていたら、やっぱり……

P110◆Cinema Cart タンタンの冒険
→5人の評者が5点満点ですべて3点をつけている。
品田雄吉「邪気のない冒険物語で、いかにもジュニア向きといった感じ」
中野翠「原作の味を残した色調と犬の活躍で点が甘くなるが、外見をデジタル処理された登場人物のリアルさに違和感あり」
芝山幹郎「技は凄いが、肌を粟立たせるものがない」
おすぎ「すっごく楽しみにしていたのに、私は退屈でした。映画的興奮を得られなかった。実写だったら、また違ったのに」
以上の意見に同感。パフォーマンス・キャプチャーの意味はあったのだろうか?

P111 Close Up 西島秀俊
→サミー・ナデリ監督作「CUT」に出演したことでのインタビュー。溝口健二小津安二郎黒澤明の墓の前で撮影をしたという。見てないので、どういうシチュエーションで撮影されたのかわからない。 墓の前で殴られたのだろうか?

P116◆文春図書館 国内海外 2011ミステリーベスト100
国内
1位 「ジェノサイド」 高野和明
海外
1位 「二流小説家」 デイヴッド・ゴードン

P150◆橋下をつくった影の大将松井一郎の正体
→松井の父親は「競艇の父」とも呼ばれた笹川良一の運転手をしていたこともある側近だったとのこと。また松井一郎はカジノにも深い関心を抱き、イタリア、フランスにカジノ視察に行ったこともあるそうだ。大阪カジノ構想もこのあたりからなのかと納得。