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シカゴ『シカゴX(カリブの旋風)』

シカゴX(カリブの旋風)

シカゴX(カリブの旋風)

ベスト・アルバムの『シカゴIX 偉大なる星条旗』に続く10作目となるアルバム。
“カリブの旋風(かぜ)”と読むようだ。

プログレを聴いてきた私としてはこのジャケットを見て、イタリアのバンドPFMの『チョコレート・キングス』を思い出してしまった。

チョコレート・キングス(K2HD+HQCD/紙ジャケット仕様)

チョコレート・キングス(K2HD+HQCD/紙ジャケット仕様)

だが、おそらくシカゴのファンはPFMはあまり聴いていないと思われるので、この言葉はあまりピンとこないかもしれない。
実は、どちらもあまり好みのジャケットではない。また、私が持っていたPFMのLPはこのジャケットとは微妙に違う。

で、音だが、ここまで来るともはや、今までのシカゴとは別のバンドという感じだ。
ロックではまったくない。ポップス・グループである。
洗練されているとはいえるのだが、スティーリー・ダンほどクールでシャープなものではない。
どこかもっさりしているのがシカゴ的でもある。

そして4曲目、ピーター・セテラの「愛ある別れ」。
ライナーにも書いてあったが、これが今後のシカゴを決めてしまったように思える。

私もこの曲はよくラジオから流れてくるのを聞いた記憶がある。
今にして思うと、曲の構成としてはバランスは悪いように思える。
印象的な一部のメロディーのみからできているような曲で、
そこに売れっ子アレンジャー、ジミー・ハスケルのストリングスとホーンのアレンジがあったからこそ成り立ったという感じだ。
ただ、聞いたときの心をつかむインパクトはあった。
10ccの「アイム・ノット・イン・ラブ」、ブロコル・ハルムの「青い影」くらいの。

結論からするとこのアルバム、正直、私の音楽の好みからすると聴き続けるのがちょっとしんどい内容だった。
中古版、レンタルともに手に入らなかったので新品のアルバムを買ったのだが……

次がテリー・キャス在籍の最後のアルバムだ。

シカゴもすっかりポップス・グループとなった。
そろそろシカゴのアルバムを発表順に続けて聴くささやかな旅も終わりに近づいているようだ。