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万城目学「鴨川ホルモー」

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー (角川文庫)

鴨川ホルモー (角川文庫)

初めて読んだ万城目学の小説。
読み始めたらすらすらと進み、通勤の電車の往復半で読み終えた。
オニと呼ばれる普通では見ることができない小人のような存在を使って京都、京都産業、立命館龍谷の大学生が戦争ゲームに興ずるという話。
そこに古典的青春小説的展開が絡む。
'80年代に書かれていても違和感のない話だ。
場所が“古都”京都だから、時代がかった人物像もさほど違和感を感じさせないのかもしれない。

奇妙な設定の話が多い人のようだが、このデビュー作も妙な話だ。
そんな妙な設定が問答無用で展開するのだが、意外にその設定を「あー、なるほど」と納得させるような説明はない。
ただ、この設定がなければ時代がかった青春小説ということになってしまうようにも思えた。
登場人物のキャラも立っているのでそれなりに楽しく読めたが、設定は荒唐無稽(この場合は悪い意味ではありません)でも展開は普通。既知感のある物語だ。
ただ、ちょっとこの作家ならではの面白そうなものがどこかに感じられる。
それが何なのかはまだよくわからない。
そのあたりが、ちょっと気になった。

とりあえず、軽く面白く読め、興味深そうなものも感じられたのでほかの作品も読んでみたい。
次は「鹿男あをによし」を読んでみることにする。