ゴドレイ&クレーム『バーズ・オブ・プレイ』
- アーティスト: ゴドレイ&クレーム
- 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
- 発売日: 2010/06/23
- メディア: CD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
'83年発表。
これは聴いていなかった。
すでに2人は、プロモーション・ビデオの監督として名を馳せていた頃だ。
ウィキペディアを見たら
'83年にカルチャー・クラブ、ハービー・ハンコック、ポリスのプロモーションビデオを手がけている。
相当多忙な時期だったと思われる。
何の先入観もなく聴いたのだが、今回が一番強烈だった。
屈折したポップスの極みを堪能できる。
この後のラスト・アルバム『グッバイ・ブルー・スカイ』は違った方向に進んだので、このアルバムが一番彼らの極端な“変わった”嗜好が感じられるアルバムとなっている。と思う。
1曲目はアカペラ。しかもタイトルは「僕の体は車」である。
ドングンチャッ、ドングンチャッチャ、ドングンチャッ♪という妙な口伴奏に乗って
「My Body Is a Car〜♪」とフェティシズムあふれる歌が始まる。
以降、密室感満載の怪しくも精緻で奇妙な曲が続く。
しかも変な曲なのに各曲のつながりに妙に勢いがある。
ライナーにも書かれていたのだが、LPのA面の曲とB面の曲でテイストに違いがある。
A面はどちらかといえば勢いのあるポップで昼のイメージ。だが、もちろんアウトドアでない。
B面は夜のイメージ。より屈折した怪しい世界が展開している。
このB面の曲が素晴らしい。気持悪い気持ちよさというのだろうか、聴いていてしびれるような気持ちよさ。
歌詞もすごい。ストレートに歌っている曲も、実は歌詞がむちゃくちゃ屈折している。
こんなこと歌うのか、みたいな感じ。
歌詞からは、フェティシズム、女性に対する恐れと愛情が絡む複雑な感情、ユダヤ人であることの屈折などが感じられる。
このアルバムタイトル『Birds of Prey』の意味は「猛禽類」だった。
ジャケットにはボンデージ姿の透明人間の女性。
女性という“恐ろしい存在”がアルバムを通したコンセプトということなのだろうか。
変な女性が多数登場する。
すごいセンスだと思う。
ただ、LPの曲だけだと、最後、ちょっと救いのない感じの曲で終わっている。
これは売れないと思う。
ボーナストラックの入ったCDの方が「ゴールデン・ボーイ」というポップなシングル曲が入っているので大きく印象が違っている(はず)。
デビッド・ボウイが歌うような曲。オリジナルなのだろうか。
なかなかいい曲だ。