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映像、書物、音楽などについての感想

やなせたかし「痛快!第二の青春 アンパンマンとぼく」

やなせ先生84歳のときの本。
表紙には、アンパンマンの絵をバックに白のタキシード姿でピースサインをしている先生の姿。
裏表紙は真っ赤なジャケットでアンパンマンばいきんまんドキンちゃんのぬいぐるみと並んだ写真。
なかなか強烈である。

やなせ先生の本を読むのも3冊目。
今回は老境(?)に入ってからのやなせ先生のとどまるところを知らない行状を軽いタッチで書いたものとなっている。
するすると読み進めることができる。やはり文章は面白い。

目次は以下の通り。

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まえがき
第1章 過疎の町にミュージアム
第2章 晩年の人生の目標
第3章 未熟児
第4章 押入れの秘宝
第5章 痴的階級
第6章 銀座学校
第7章 地獄の黙示録
第8章 食糧倉庫の芝居
第9章 とりあえず屑屋になる
第10章 花ひらく
第11章 超天才・手塚治虫の上京
第12章 ライオンからアンパンマン
第13章 悪評サクサク
第14章 平成のヒーロー
第15章 珍奇・第二の青春
第16章 1号店の奇跡
第17章 空中浮揚術に挑戦
第18章 ミッシェル・カマとは誰?
第19章 増殖するキャラクター群
あとがき

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高知県の故郷にアンパンマンミュージアムを建てた際の話から初めて、現在に至るまでの過去のこと、今回は特にアンパンマンが国民的キャラクターになってからのその後が語られる。
初の自伝だった「アンパンマンの遺書」よりは軽く書かれ、第15章の「珍奇・第二の青春」以降は、老境に入り、開き直った先生の“暴走ぶり”が楽しめる内容となっている。

さほど人に迷惑をかけることでなければ好きなことをやるだけやってしまおうと、かなり好き勝手なことをやっている。
しかも80歳を過ぎてである。

アマゾンの商品説明に書かれたまんまの内容となっている。

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味わいつくせ、人生。84歳、いまや、こわいものなし!

“分身”アンパンマンが60歳でヒットし、70歳でアニメ化されて大ヒット!
そして、80代でますます多忙にして、日々愉快。『手のひらを太陽に』の作詞者でもある著者が語る、「傑作人生」。

老境に達すれば枯淡の境地、飄々として生きるのかと想像していたのにまったくちがう。とても自由になりました。仕事をするのも面白く、女の子と遊ぶのも気楽でね。……お金も、もうあまり必要ではないのでガツガツしません。好きなことだけ好きなように選んでして、気が向けばタダでも、あるいはこっちからお金を出してもやらせてもらいます。――(本文より)

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七人の花嫁をステージに上げるなど“暴挙”の写真も多数掲載されている“珍奇な書籍”となっている。
ただ、好き勝手なことをやっても下世話な感じにならないのが、やなせ先生ならではだと思う。
苦労人でもあり、品性のある人間だからだろう。