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見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

原田眞人監督、役所広司主演の映画「わが母の記」

実は結構前に見たのだが、感想メモを書く気にならず、放置していた映画。
ただ、決してつまらない映画ではない。
退屈することなく面白く見れた。

日本で昔からいわれた映画の3要素としてスジ、ヌケ、ドウサという言葉がある。
おおざっぱに言えば、スジが“ストーリー”で、ヌケが“画面”、ドウサが“演技”という感じだろうか。

分かりやすい捉えかたなので、私はこの要素を踏まえて、見た映画の面白さについて考えることもある。
今回のこの映画は、スジ、ヌケ、ドウサでいえばヌケが目立ってよかった映画だった。

山間の村落、昔の街の風景、川の景色、海辺のホテル、海岸、そして井上靖の自宅でロケしたという室内の映像。
内容は淡々とした家族年代記ともいえるのだが、各シーンが丁寧に撮影され、見ていて飽きることがない。

メインストーリーは、
両親に捨てられたと思っていた主人公が、それを乗り越えて母へのわだかまりをなくす。
こんな話といっていいだろう。

主人公の葛藤はあるが、物語は淡々と進む。
アクション的な盛り上がりとしては、ぼけた母がトラックに乗って沼津まで行ってしまい、家族が必死でそれを追うところあたりになるのだろうか。
そして場面は静岡の砂浜で、焚き火をしているシーンに飛び、大団円となる。

ボケ演技を披露する樹木希林は言うまでもなくハマリ役。

ただ、あまりに淡々としていて書くことがない映画だ。
小津安二郎へのオマージュ的な面もあるとシネフィルの人間から聞かされたが、私は小津安二郎の映画は漠然としか見ていないので、具体的なことを書くことはできない。

三國連太郎が主人公の父として出演。
寝たりきりの役で、発する言葉は、あ〜、のみ。
すっかりやせこけた姿に驚いた。