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映像、書物、音楽などについての感想

ポール・サイモン『ライヴ・イン・セントラルパーク』(LD)

ポール・サイモンが’91年8月15日にニューヨーク・セントラル・パークで行ったフリー・コンサートを収録した映像。コンサートは75万人を動員したという。

アフリカ、ブラジルの民族音楽を取り入れた「グレイスランド」(’86年)、「リズム・オブ・ザ・セインツ」(’89年)の流れをくむ‘91年から始まった世界ツアー“Born at The Right Time Tour”の合間に行われたコンサートだったようだ。
当時このコンサートは映像(LD、ビデオは出ていたか記憶にない)とCDが出た。その後、DVDは出ていない。

そんなわけで、大昔に映像を見たようなおぼろげな記憶はあるが、DVDが発売されていないので内容について確認したかった。
発売当時は、「ポール・サイモンはエスニック・ミュージックの搾取者だ」的な日本の音楽誌の論調に乗せられて彼のことをあまり評価していなかったのだが、今ではその呪縛も解けて素直に聴けるようになり、このコンサートはポール・サイモンのソロキャリアのひとつの頂点ともいえるライブと思えるようなっていたので。

たまたま行った都立図書館にLDがあったので、資料を見つつ鑑賞した。

CD、LDともに収録曲は同じ。LDにはコンサート開演前のNY市長の前口上などのMCがあるくらいで基本的に同じ内容といっていいと思う。
バックの面子が知りたかったのだが、私の知っているのはドラムのスティーブ・ガッド、キーボードのリチャード・ティー、サックスのマイケル・ブレッカーくらいだった。
アフリカ、ブラジルのミュージシャンが多数参加という感じである。ただ、彼らの演奏は素晴らしい。

見ていて思ったのは、スティーブ・ガッドのドラムが基本的にリズムの核になっているということ。予想通りとはいえ、あの大会場でビートがきっちり決まっていたのは彼の力によるところが大きいのではなどと思った。

ライブは「ハーツ・アンド・ボーンズ」「追憶の夜」でクライマックスとなる。そしてアンコールは「アメリカ」「ボクサー」。2回目のアンコールが「サウンド・オブ・サイレンス」。

セールス的には惨敗だったという『ハーツ・アンド・ボーンズ』だが、ライブで見てこのアルバムの表題曲は名曲だと改めて思った。重い曲だが。
そして、その後の「追憶の夜」の流れは映像で見なければわからない盛り上がりだった。
正直“絵”的には今のライブ映像から比較すると、派手な演出もない。
なので飛ばしながら見たのだが、見てよかった。

しかし、ギターを交換するときにストラップをギターから外して、ストラップを床に落として交換しているのはなぜなのだろう。
ストラップを頭でくぐるとヅラがずれると危惧してなのだろうか。
その流れるような無駄のない動きに感心した。

↓これはCDです。

Paul Simon in Central Park

Paul Simon in Central Park

新作の「ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ」も追って後日見てみたいと思う。
↓ここでCDの視聴ができた。1曲目は「The Obvious Cild」。セントラル・パークと同じ!
http://www.rollingstone.com/music/news/album-premiere-paul-simon-live-in-new-york-city-20120913

ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ(DVD付)

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