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映像、書物、音楽などについての感想

柚木麻子の小説「終点のあの子」

小説 書籍

終点のあの子

終点のあの子

文春0419で少女漫画のような小説、と紹介されていた中編集。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120425/1335376244

どのようなものかと思い読んでみた。
舞台となるのは世田谷区にある中高一貫プロテスタント系の女子高。
学校名はもちろん書かれていないが、私自身も世田谷区に10年住んでいたのでどこの高校かと思い、読んでいた。
初めは筆者が立教出身とのことだったので立教女学院かと思ったのだが、立教は聖公会なのでプロテスタントではないし杉並区だ。読み進むと小田急線沿線とのこと。
さらに読み進むと下北沢から成城学園前までの間での中高一貫の女子高とわかる。そうなると、鴎友があるがあそこはプロテスタントではないはず。となると恵泉? などと推理しながら読んだ。

あとがきを見ると著者は恵泉女学園出身だった。

ただ、私の印象では恵泉はかなり地味な学校という感じで、小説で書かれている学校とちょっとイメージとは違った。ここまでお嬢さん学校でもないような気もするのだが。

で、読んだ感想メモ。

世田谷にある女子高を舞台にした4話からなる連作中編集だ。
(最終話のみ登場人物の1人が大学4年となっている話となっている)

高校1年の同じクラスの天然で感性の鋭い少女・朱里、その子に惹かれながら彼女を裏切る少女、夏休みにささやかな冒険を企てる地味な少女、クラスのヒエラルキーの頂点にいるクリーニング店の娘である美少女、大学教授の娘で見てくれを気にしない読書好きの少女、彼女らがそれぞれの話でメインのキャラクターとして登場する。
最終話は天然で感性の鋭い少女・朱里が美大の4年生となって登場、ちょっとした自信を打ち砕かれてから気持ちを取り直すという感じの話になっている。
群像劇的な作品なのだが、朱里が軸となった作品といってもいいのかもしれない。

ただ、この朱里の語る言葉の底が浅いので、読んでいてしらける。この程度ではあまり才気を感じさせない少女に思えてしまう。高校生なのだからしょうがないのかも知れないが、もうすこし鋭い言葉を発してほしかった。
といったこともあり、彼女が登場する話はあまり魅力的な話ではなかった。

個人的には、読書好きの風貌はさえない少女とクリーニング店の娘の美少女が、夏休みに親しくなるという話が、2人の凸凹感が面白みを出していて楽しく読めた。

紹介されていたように、本当に少女漫画のような小説だった。
非常にすらすらと読め、つまらなくはない。
ただ、結論からいうと、ここで描かれている子供たちの行動に強く心動かされるということはあまりなかった。

そんなところだ。

また、機会があればほかの作品も読むかもしれない。

作者はシナリオセンターで脚本の勉強もしていたようだ。