クレシッダ・コーウェルの児童小説「ヒックとドラゴン」1〜7巻
娘が読んでいるので、私もこのシリーズは読んでいる。
設定はムチャクチャだが、テンポがよく面白い。
いつの時代の話かもわからないのだが、ローマ軍が登場するので、そのくらいの昔ということなのだろうか? ただ、アメリカという大陸も登場する。
まあ、実際のこの世界とは違う、もうひとつの世界とでも理解すればいいのかもしれない。
この小説の世界にはさまざまなドラゴンが存在する。
そして主人公はヒック・ホレンダス・ハドック三世。
バイキングの類まれなヒーローである。
そのヒックが老年となり、自分の少年時代を回想、執筆した冒険物語ということになっている。
ヒックが古ノルド語なる言葉で書いた物語を、現代語に翻訳したのがこの本。
翻訳者がクレシッダ・コーウェルという趣向だ。
ドラゴンという存在に象徴されるような、かつてあった古きよき“野蛮な”時代へのノスタルジーが基調としてあるのが特徴。
ストーリーとしては以下のような内容だ。これは第1巻「伝説の怪物」の解説文。
ヒックは、ごく平凡な少年バイキング。特技はドラゴン語を話せること。そんなヒックが、ちょっとわがままなチビドラゴンと出会い、力を合わせて巨大な怪物ドラゴンと戦うことに……。ヒックは凶暴なドラゴンを倒し、バイキングのヒーローになれるのか……?
バイキングの学校で、粗暴なバイキングの少年たちに小突かれているひ弱なヒックが、ドラゴン語を話せることから、さまざまな冒険をして成長していく物語だ。
ひ弱な少年の冒険物語といった点で「ドラえもん」的な面もある。
だが、ここにはなんでも解決してくれるロボット猫的存在はいない。
足を引っ張るばかりのチビドラゴンがいるだけだ。
そしてヒックはノビ太ほどに、ヘタレではない。体は貧弱で力はないが、しっかりとした意志と知恵、優しい心を持っている。
そんなヒックが各巻で、パートナーであるチビドラゴンのトゥースレス、ヘタレの親友フィッシュ、男まさりの少女カミカジとともにトラブルに立ち向かうという趣向となっている。
1〜6巻で私が最も面白く読んだのが5巻の「灼熱の予言」。
ホットショットというバイキングのヒーローが登場する回なのだが、ヒックとの意外な関係や、作品としてのメリハリなど大人が読んでも楽しめる内容となっていた。
ラストにはちょっと感動してしまった。
映画版も面白いが、内容は別ものといっていいだろう。あちらのドラゴンは“トゥースレス”でなく“トゥース”だ。
8巻からは読んだ感想メモを書くことにする。