見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

クレシッダ・コーウェルの児童文学「ヒックとドラゴン9 運命の秘剣

ヒックとドラゴン〈9〉運命の秘剣

ヒックとドラゴン〈9〉運命の秘剣

このシリーズも9巻目。いよいよクライマックスに近づいてきた。


ヒック二世の“弟”であり、かつて人間に反乱を起こした巨大なドラゴン、フュリオスがヤバン諸島から去ってから1年。
フュリオスは宣言通りにドラゴン解放軍を率いて戻ってきた。

ドラゴン解放軍と人間の戦い、“それと同時に西の荒野の王”の座をめぐるヒックとアルビン、アルビンの母・魔女エクセリノールとの戦いも始まる。
さらに今回の巻ではヒック・ホレンダス・ハドック一世の友人だったドラゴン、オーディンファングが登場。ヒック一世の話が語られる
今までに語られてきたエピソードが集約、大きな物語となっていく。

西の荒野の新王を決める剣術トーナメント、その後のヒックのドラゴンと人間の共生を主張する演説、思わぬ展開、ドラゴンを抹殺することができるドラゴンジュエルの行方……。
中盤以降は怒涛の展開である。
期待以上の面白さだった。

第9巻は、このシリーズで始めて1巻でエピソードが完結しない巻となっている。作者のクレシッダ・コーウェル(この小説は、古ノルド語でヒック三世が書いた自伝をコーウェルが翻訳したという作りになっている)によると、「この物語も先はもう長くないでしょう」とある。
次の巻でこのシリーズは終わるのかもしれない。

この作品での“ドラゴン”は、現在の人間が失ってしまった“何か”のアレゴリーだと思うのだが、そのドラゴンが物語の終わりでどうなってしまうのか、ものすごく興味深い。

次の巻が出るのが楽しみだ。