アーシュラ・K・ル=グウィンの小説「影との戦い ゲド戦記1」
- 作者: アーシュラ・K.ル=グウィン,ルース・ロビンス,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 単行本
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ただ、内容はまったく覚えていない。
娘の本棚に「ゲド戦記」の全6冊があるので読んでみることにした。
現在3巻まで読み終えた。
まず第1巻の「影との戦い ゲド戦記1」についての感想メモ。
原題は「A Wizard of Earthsea」。
日本語にすれば“アースシーの魔法使い”である。
“ゲド戦記”の舞台はアースシーと呼ばれる数多くの島がある世界が舞台。そこには竜もすんでいる。
第1巻は、通り名はハイタカ、真の名前はゲドという魔法使いの少年の成長を描いた話だ。
表紙裏カバーにある解説文にはこう書かれている。
アースシーのゴント島に生まれた少年ゲドは、自分に並外れた力がそなわっているのを知り、真の魔法を学ぶためにロークの学院に入る。進歩は早かった。得意になったゲドは、禁じられた魔法で、自らの〈影〉を呼び出してしまう。
ウィキペディアによる概略は以下の通り。
ゲド(ハイタカ)の少年期から青年期の物語。ゲドは才気溢れる少年だったが、ライバルよりも自分が優れていることを証明しようとして、ロークの学院で禁止されていた術を使い、死者の霊と共に「影」をも呼び出してしまう。ゲドはその影に脅かされ続けるが、師アイハル(オジオン)の助言により自ら影と対峙することを選択する。
たしかにそういう話ではある。ただ、この説明だけだと、この物語がもつ、とても重要なものをとりこぼしてしまっている気もする。
要約しづらい物語なのだ。
読んでみないとこの世界は自分の中にもちこむことはできない小説といっていいかもしれない。そして読み方により、その世界への印象は大きく変わるような気がする。
そして、この第1巻は、ともかく内省的な物語だ。暗く色調の乏しい世界が展開している。
星ひとつ見えない暗い夜、荒野で焚き火をしながら古老から話を聞くような物語という印象だ。
(→この文体は作品が進むごとに変わっていく。)
物語自体は面白く読めるのだが、名前、魔法、沈黙と言葉、光と闇、竜といったものが象徴的なものとして散りばめられ、読み手によって理解の深さ、方向が違ってくるように思われる。
個人的にはヘッセの「ガラス玉演戯」、ゲーテの「ウィルヘルム・マイステルの徒弟時代」を連想した。
ロークの学院から私は「ガラス玉演戯」に出てくるカスターリエンを思い出した。
そしてゲドのために命を失う大賢人ネマールの姿から、若き弟子を助けるために命を失った「ガラス玉演戯」の主人公ヨーゼフ・クネヒトを思い出した。
また、旅を続けながら成長する姿からウィルヘルム・マイステルの姿を。
岩波少年文庫からは「●中学以上」として出版されている。
正直、小学校3年だった娘が、この話をどの程度理解していのかよくわからない。
ただ、全シリーズ読んだので、子供なりに読んでいて魅力がある話なのだろう。
続けて、各巻ごとについてもメモを残したい。
個人的には巻を進めるごとに物語の世界に魅了された。
第4巻以降を現在読んでいる。