見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

ウォシャウスキー姉弟、トム・ティクヴァ監督の映画「クラウド アトラス」

6つの物語が描かれる話、ということで話についていけなくるのでは、と危惧していたが、そんなことはなかった。1回見ただけでは不明な点もいくつかあったが、ストーリーの流れには乗って約3時間スクリーンの世界に入り込む時間が体験できた。

この映画、超越的存在の出てこない「火の鳥」みたいな話だった。
後で町山智浩氏もそう指摘していたことを知った。
40代以上でSFや漫画を読んできた人にはそういう印象をもつ人が多いかもしれない。

6つの物語を紡ぎ、そこから大きな盛り上がりを作ろうとした意欲的な大作であることは間違いないが、名作となりえているかというと難しいところだ。
突っ込みどころはかなりありそうだ。

とはいえ、この作品、個人的にはかなり気に入った。
この作品から感じられる世界観を私が好きだからなのだろう。

タランティーノの映画「ジャンゴ 繋がれざる者」と同様、この映画も、今までの監督作からすると映像的ギミックは少ない作品となっている。

個人的に残念だったのは以下の2点。

◆音楽は悪くはないのだが、もっとスコアの書ける人が担当していたらもっと盛り上がる話になった気がするのが残念だ。
フィリップ・グラスとか、ミニマルミュージック系の大御所がもし音楽を担当していれば、などと思ってしまった。
スティーブ・ライヒの『ディファレント・トレインズ』などからわかるように、並行して描かれる物語とミニマル・ミュージックは相性がいい。

ライヒ/ディファレント・トレインズ

ライヒ/ディファレント・トレインズ

◆体制側と戦うレジスタンス軍という描写については、「マトリックス」で散々やってたので、ちょっと勘弁してほしいと思った。

※このブログに時間と労力を費やすことができないので、今後、推敲せずに一気に文章を書いていくつもり。