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見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

モリッシィのテレビ評集「『テレビ鑑賞家』宣言」

「テレビ鑑賞家」宣言

「テレビ鑑賞家」宣言

テレビに詳しい人間に現在、テレビ評を書いている人間でこれといった人は?と 尋ねたら、
思い浮かぶ人間はいないが、とりあえずということで、
今井舞とこのモリッシィという人の名前が挙がった。

今井舞は週刊文春の記事で知っていたが、モリッシィという人は知らなかった。

図書館でモリッシィ著「『テレビ鑑賞家』宣言」を借りて読んでみた。

アマゾンの紹介文を読むとこんなことが書いてあった。

戦後テレビ史上最大転換期の克明な記録。「2ちゃんねる」「ミクシィ」「YouTube」時代を迎えテレビの権威が急速に失われてゆくこの10年間、鑑賞家はひたすらTV画面と向き合った。超ディープで真正面な伝説的テレビ批評がついに単行本化。

この本は、2008年10月25日に発売されたものだ。
内容は'97年から2008年までに書かれた記事を掲載しているものだった。

アマゾンにあった各コラムタイトルを以下にコピペする。

誰が菅野美穂ヘアヌードを撮らせたのか/キムタク芝居に明日はあるのか
「所さん」はなぜ"サン付け"なのか/『松ごっつ』から高村光太郎までの"道程"
謎の「加藤VS志村公開査定事件」/久米宏はなぜ『Nステ』を休んだのか
スベり保険への加入はほどほどにしましょう /「シルキー小学生」の誕生
ボブ・サップ始めました。(館長)/フジテレビ「構成作家免許」剥奪事件
明石家さんまを接待せよ/ホリエモンのラジオ観は見事に的外れ
今でも「あるある会員」ですが何か?/オーラの泉はいつ枯れるのか
亀田が8時45分に敵を倒さねばならない理由/オシム監督に勝つ方法
本気になった中国人は饅頭に何を入れる/電脳朝青龍は電気行事の夢を見るか
ドロンボーは大変なものを盗んでいきました。/「おバカさん」の発見
麒麟・田村ん家への最短経路教えます/下流社会へのレクイエム
この「どんだけぇ~」は誰のもの?/口パクから伝わる真実もある
......ほか、全51本。

ネタとしては見事なほど賞味期限の切れたものばかりである。
賞味期限が切れて陳腐化するネタをわざと選んだのではと思えるくらいである。

そして、
賞味期限の切れたネタを扱った文章というのは、書き手の対象への見識、そして表現力があらわになってしまうものだ。

さらに言うと、
ネタ自体は古いものでも書き手の切り口、見識、語り口に惹きつけるものがあれば、十分に読めてしまったりする。
ただ、力不足の文章は読むに耐えないものになっていたりする。

で、今回読んだこのコラム集。
残念ながら色んな意味で書き手の力のなさがあらわになってしまっていた。
途中から読み飛ばしてしまった。
長年にわたって書き続けたテレビコラムの集成でもあり、著者にとっては思い入れがあるのかもしれないが、私はこの本を読んで感心すること、面白いと思ったことは基本的になかった。
考察は薄く、着眼点も月並みである。
今となっては、恥ずかしくらいの見識のなさを披露しているコラムもある。

デジタル大辞泉 見識の用語解説によると「見識」とは以下のように解説されている。

物事を深く見通し、本質をとらえる、すぐれた判断力。ある物事に対する確かな考えや意見。識見

そう、鑑賞家といっておきながら、この文章には見識が感じられないのだ。
その点について列挙するのは時間の無駄なので省く。

こういうものを読むと、確かにナンシー関という人はすごい人だったと思えてしまう。

アマゾンの書評にディープとあったが、個人的な感想としては、この本はとうていディープなものではないと思う。
簡単にディープという言葉を使っている本の担当編集者の見識を疑う。
まあ、当時のテレビ風俗の記録としては多少は存在意義はあるかもしれない。

この本に関しては3日後には内容をすっかり忘れてしまっていることが予想されるので、あえて記録として残しておく。