新川直司の漫画「四月は君の嘘」1〜9巻
会社にいる若い社員から薦められて読んだ。
彼は特に目利きという感じではない。
2013年の講談社漫画賞少年部門を受賞した作品だった。
以下、読んだ感想。
こんな話である。
高い音楽的才能を持ちながら心の傷からピアノ演奏者として致命的な欠点を持つことになった少年が、
死期の迫るなか懸命に生きようとするバイオリニストの少女と出会い、
そこから生まれたさまざまな人々との交流の中で成長していく。
分かりやすい話である。
また、音楽と色彩ということに着目している作品でもある。
特に嫌な感じも受けず、それなりに心動かされるところもあった。
ただ、自己満足的でナルシスティックな描写が年寄りからするとちょっとついていきがたいところがあった。
「おいおい、語りすぎだろ。泣きすぎだろ」みたいな。
作品の中に入り込むことはできなかった。
また、クラシック音楽をネタに物語を展開しているのだが、そうでなければならない強い“何か”は、個人的にはあまり感じることができなかった。
たまたま、今同じクラシックネタの「のだめカンタービレ」を読んでいる(今さらですが)。
あちらの方が、ネタがクラシック音楽である“必然性”、クラシックをネタにしているからこその世界がある。
正直、突出した漫画と思えなかったが、連載されている漫画誌で読む分には楽しめるかもしれない。
私は諸事情により現在、漫画は雑誌では読んでいない。
なので近年の少年漫画の状況はまったくわからない。
このくらいが、講談社漫画賞少年部門を受賞する平均的な少年漫画のレベルなのかもしれない。
漫画話法的には羽海野チカの影響があるような気がしたが、漫画読書量が減ってから長いので、現在の漫画話法のトレンドをまったく知らない。
なので勘違いかもしれない。