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ジュリアン・コープ「JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-」01

ジュリアン・コープのアルバムは何枚か持っていた。
「セイント・ジュリアン」とジャケットでカメのかっこうをしていた「フライド」だったと思う。
セイント・ジュリアン+14〈スペシャル・エディション〉 フライド+3

奇人という印象だった。今はもう音源は持っていない。
この人の出自はよく知らないのだが、今回の「ジャップロック・サンプラー」のほかにもクラウト・ロックについての著作など何冊も書いているようだ。
リシャール・ピナスのようなインテリなのか?
よくわからない。でもそれはなさそうだ。

何年か前に日本版が白夜書房から出ていた。以前から気になっていたので、それをついに読んでみた。

巻末に載っている「著者のトップ50」という、一般の日本人はほとんど知らないような非常に偏ったセレクトの日本人アーチストによるアルバム紹介と
そのラインナップにまったくそぐわない
近田春夫とJ−POP好きで知られている元メガデスマーティ・フリードマンの対談
(日本版を出す際に白夜書房側で企画したと思われる。普通この人選はありえないが……。何か理由があるのだろうか)
があり、まずはそっちを読みたかったが、それを我慢して、初めから読み始めた。

予想していたように、これはかなりの奇書だと思う。
黒船来襲から始まる、日本の近代化の歴史をおさらいをすることから始めているのだ。
しかもそこで書かれている日本史は、脚注で指摘されているように、かなり目立つような事実・名称の間違い、認識のズレがある。
ただ、一般的なガイジンは日本の近代化の過程のことなどまったく知らないだろうから、著者は著者なりにかなり文献を調べて書いたのではないかと思われる。妙な熱意を感じた。

冒頭の1章しか読んでいないので、また続きは読んでから更新したい。
ただ、この文章だとさすがに375頁をきっちり読むことはできなそうだ。ある程度の飛ばし読みになると思われる。

すでに興味深かった部分もいくつかあった。

P9「イギリスと日本とデンマークの世界観には劇的なまでの類似性がある」には意表を突かれた。
デンマークとの劇的な類似性?
考えたこともなかった。

P16 ドラッグとロックのつながりの深さをものすごく強く主張し、日本でのその点での違いを語っている。
トレインスポッティング」とかケン・ローチ監督作とか、ゲーリー・オールドマンの自伝映画「ニル・バイ・マウス」とか、イギリスの風俗を描く映画によく出てくるドラッグに耽溺する習慣は実際にもはかなりのものなのか、と改めて認識した。

↓に続く。
ジュリアン・コープ「JAPROCKSAMPLER ジャップロック・サンプラー02