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よしながふみ「きのう何食べた?」

まとめて5巻まで読んだ。

よしながふみが主要テーマとしている“同性愛”“食”“法律家”の3つのアイテムを軸に、中年ゲイカップルの日常を描いた作品。

とはいえ、青年誌の「モーニング」に月イチで掲載されているものなので、性愛の描写はまったくない。
人間関係も愛憎のドロドロしたものは描かれず、主人公と同居人の関係は、表面上は親しい友人同士の共同生活ともいえるほどさっぱりとしたもの。
そんな中での人間関係の微妙な感情のあやが、日常の食事をモチーフにしてつづられていくところがこの作品の見どころだと思う。

描かれるのはあくまでも日常。大袈裟にドラマチックな展開はない。
だが、登場するキャラクターの魅力とそれぞれの関係性、お話を読ませるアイデア、巧みな漫画の語り口が見事で、各話を楽しく読み進めていくことができる。
特に詳細なレシピと料理シーンの描写は、それをじっくり読むとさらにこの漫画の面白さが増すという仕組みになっている。
私はその部分については非常に楽しむことができた。

主人公は作品が進むごとに年齢を重ねていく。
日常を描いているのだが、サザエさんとは違い登場人物は年を取る。
主人公は第5巻の時点で46歳。
主人公を取り巻く環境、物語もゆっくりと進んでいる。
主人公は帰らなかった実家に年末年始は帰るようになり、来年は恋人である同居人を連れて帰ることになった。
主人公がこの先どう中年から初老になり、変化していくのか。
そのあたりの描写をどうするのか、年齢的に近い私としては興味深く思っている。
これは続けてほしい漫画だ。

いい漫画だと思います。

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

きのう何食べた?(2) (モーニング KC)

きのう何食べた?(2) (モーニング KC)

きのう何食べた? 3 (モーニング KC)

きのう何食べた? 3 (モーニング KC)

きのう何食べた?(4) (モーニング KC)

きのう何食べた?(4) (モーニング KC)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)

きのう何食べた?(5) (モーニング KC)