よしながふみ「愛すべき娘たち」
1組の母娘を軸に、その周辺のさまざまな人間関係における“愛”がつづられる連作短編集。
'02〜'03年に発表されたものだ。
'97〜'98年に発表された「こどもの体温」では父と息子を軸に周辺の人間関係がつづられたが、それと対を成すような家族ものの作品集といえるのかもしれない。
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よしながふみ「こどもの体温」の感想とメモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20111118/1321637271
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実は、これまで何作かこの作者の漫画を読んできたが、この作品が一番よかった。
というか、これは傑作といえるではないだろうかと読んだ後、思ってしまった。
作者のクールな視点、短編集としてのシンメトリックな構成(5話構成で1話・5話が主人公の母娘の話、真ん中に前・後からなる第3話の読み応えのある話、2話、4話に主人公の周辺人物のエピソード)、各話ごとに描かれるそれぞれの“愛”の多様な形の巧みな描き方、さまざまな漫画の話法、などなど連作短編集としての完成度は非常に高い。
よしながは対談で自身がフェミニストであることを語り、ただ、そういう主張をするために大好きな漫画を利用したくないといった趣旨の発言をしていた。
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よしながふみ対談集「あのひととここだけのおしゃべり」の感想とメモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20111104/1320429667
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ただ、この連作短編を読めばフェミニズムというものが重要なテーマとして織り込まれているのは明白である。
しかし、それは決して声高に叫ぶようなものでなく、自然に説得力のあるものとしてドラマの内容と一体化している。特に第4話で描かれるフェミニズムのテーマは女性にとってはきっと切実に感じられるものだろうし、男性の私が読んでも心を打たれた。
さらに素晴らしいのは第3話で描かれる愛の形だ。
自らがあるべきものと考える“博愛”という愛の形に改めて気付き、その道に進んでいく女性の精神的遍歴が描かれているのだが、ラストでその女性が、決意するときの表情には感動してしまった。
冒頭の布石からエンディングにいたるまでの読み物としての展開の面白さも抜群だ。
何になるかはここでは書かないが……
読み返してそのよさがわかってくる漫画である。先日読んだ少年漫画的な「宇宙兄弟」とは対照的な作品だ。'70〜'80年代の少年漫画と少女漫画の違いのように。
第3話、第4話については近年読んだ漫画の中でも、最高レベルのものだと思った。
一番軽く読めるのが第2話だが、登場する女子大生が妙に志村貴子「青い花」に出てくる主人公に似ているように思える。何か意味があるのだろうか?
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