見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

シカゴ『ホット・ストリート』

ホット・ストリート(紙ジャケット)

ホット・ストリート(紙ジャケット)

シカゴのアルバムを発表順に聴くのもそろそろ終わりそうだ。
このアルバムを聴いて、その思いを強くした。

今回の『ホット・ストリート』はギタリストでボーカルも担当したテリー・キャスが死亡後、新たなプロデューサー、フィル・ラモーンを迎え、新メンバーを迎えて録音したもの。'78年の作品。

通し番号でなく初めてつけたアルバム・タイトルが『ホット・ストリート』!
それでこのアルバム・ジャケットである。中面の写真もこれにまさるとも劣らない。
ものすごいセンスだ。
今までのシカゴを聴いてこなければ絶対聴いていないシロモノだ。

音に関してはひとそれぞれの好みがある。
そして初期よりは商業音楽としてのプロフェッショナルな洗練度は増しているのは事実なのだろう。
ただ、この音楽のセンス、私には許容できる範囲内にはない。
ここまで来てしまったか……という感じだ。
プロデューサーのフィル・ラモーンは確かビリー・ジョエルとかをやっていた人だと記憶している。
別にビリー・ジョエルがよくないというわけではないが、フィル・ラモーンの起用は失敗だったように思える。
いい人はいなかったのだろうか。

聴き通すのがつらかったのだが、頑張って5、6回は通して聴いた。
そして、感じたのは“これもシカゴ”ということだ。
凡庸なアレンジ、音のつくり、中途半端な力で歌う“ラブ”を多用した歌詞、などなど、個人的には陳腐きまわりない、聴いていて新鮮なもののない、既知感満載の曲が多い。
だが何度も聴くと、その奥には確かに“シカゴ”がいる。

この嫌な歌唱法を変えて、別のプロデューサーを迎え、サウンド構成を変えれば、もしかしたら違うトーンのアルバムになったかもしれない。
とはいえ、やっぱりこれを聴くのはキツイ。聴いていて苦しい。

'78年といえばジョン・ライドンセックス・ピストルズ脱退後、パブリック・イメージ・リミテッドのファースト・アルバムを発表した年だ。
それを思ってこのアルバムを聴くと、あまりの世界の違いに頭がクラクラしてくる。

以上は現時点での個人的な感想。
人それぞれ好みはあるので、この文章で不快な思いをする人がいたらすみません。

新しく入った人はブルー・ノート・ペンタトニック・スケールを使ったテリー・キャス風のプレイも披露している。ただ、個人的にはこの人にはまったく興味を抱けなかった。

次の『シカゴ13』は音を手に入れたので聴くが、それが最後になるかもしれない。
このジャケットも酷い。
バビロンで頭が狂ってしまったのだろうか。

シカゴ13(紙ジャケ)

シカゴ13(紙ジャケ)