近田春夫「定本 気分は歌謡曲」
- 作者: 近田春夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/12
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
- 作者: 近田春夫
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2008/12
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
感想は以下↓
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120112/1326364062
リアルタイムではオリジナル
は読んでいた。
当時、週刊漫画アクションに連載していた近田による人生相談に衝撃を受けて、それ以来のファンだったので。
(この人生相談が何年に連載されていたのかは不明)
だが、この本、誰かに貸してから失ってしまい、現在は手元にない。
まえがきによると“定本”はオリジナル版にはあった「わたしの生い立ち」など“どうでもいいもの”や対談はカット。
そして「POPEYE」に連載していた「THE歌謡曲」の原稿をすべて載せるようにしたとのことだ。この連載は'78年から'84年まで7年間続いた。
連載もリアルタイムで読んでいたのだが、内容はすっかり忘れていた。
で、数十年ぶりに読んだ感想。
よく、この本が復刻で出たものだと思う。
「考えるヒット」が話題になったことの便乗で担当編集者がまんまと出版した本という感じだ。
時代と寝た本(とはいえヒットした本ではまったくないが)で、時代を超えるものはあまりない。
ただ、当時の空気感がよく出ているので逆にその点が興味深い。
まえがきで近田がこう書いている。
「振り返ってみると、お人好しな時代だったと思う。誰が今日の日本のこのヘヴィな状況を頭に思い描いていたことか。もう『絶望感』など街中に普通に転がっている」
確かにこの本を読んで、どうしてここまで日本は変わったのかという感は私も抱いた。
ちなみにこの復刻版は'98年に出たもの。状況はもっと悪くなっている。
“テキトーに書く”ことが挑発的で、面白く読めた時代の産物的といえる本かもしれない。
当時はカーツ佐藤とかこういうトーンの文章を書くライターが結構いたような気がする。
映画における副音声のコメントのように各記事に、近田、川勝正幸、文藝春秋で「考えるヒット」を企画・担当した編集者の鼎談が挟まれている。この鼎談面白いものもあるのだが、もっと突っ込んでほしかった部分もあった。
'80年前後の空気感を知りたいという人は読んでもいいかもしれない。
“お人良しな時代”ということが実感できるはずだ。
個人的には当時、近田がよく言っていた「“順法闘争”のススメ」的な文章が懐かしかった。
30代より下の人はもうこの言葉知らないのでは。
“順法闘争”とはほんとにお人好しな時代ならではの産物でしたね。