見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

ショーン・レヴィ監督、ヒュー・ジャックマン主演の映画「リアル・スティール」

私の周囲で見た人間、皆が面白いと言っていた映画。
それぞれタイプの違う人たちなので、全方位的に娯楽作として楽しめるのではないかと思っていた。

金曜の夜8時から、これもガラガラの劇場で見た。
確かに面白かった。
ミッション:インポッシブル”までいくとお腹いっぱいになりすぎるが、
このくらいの感じだと誰でも気楽に見て楽しめる内容になっているのでいないかと思う。

“離れ離れの親子の絆”みたいな話らしいとのことだったので
勝手にシルベスター・スタローン主演の「オーバー・ザ・トップ」みたいなものかと思っていたら、まったく違った。
あちらよりはずっどドライなタッチだった。
時代が違うので当然だが、親子関係の絆もべたにならず抑制の効いた演出で描いているあたりに好感をもった。
クライマックスのロボットの対戦シーン、音声受信機能が損なわれたロボット・ATOMをコントロールするため、ヒュー・ジャックマン演じる主人公が動作模倣機能(?)を使い、リングサイドでシャドーボクシングをするシーンが最高でしたね。
親子のその後みたいなところもエピローグ的にあるかと思っていたのだが、あっさりと“やったぞ!”みたいなところで終わっていたのも、くどくなく好感を持った。
ただ、あの親子はあの後どうなったのだろう?

ショーン・レヴィという人はなかなかソツのない娯楽映画の監督のような気がする。
「ナイト・ミュージアム」とか監督してる人だった。

引っかかったのはノイジー・ボーイという劇中で2番目に主人公が操作するロボット。
日本製なのだろうか、ボディに“超・悪・男・子”などの文字が何箇所もでかでかとペイントされている姿を見て笑うに笑えなかった。
劇中、ノイジー・ボーイが壊れて正直ほっとした。
さすがにあれが主人公と行動をともにするロボットになったら、感情移入はできませんでしたね。

ダニー・エルフマンの音楽がとてもよかった。
「永遠の僕たち」とは違ったタイプの仕上がりだが、彼の音楽があったからこそこの作品の奥行きや余韻、味わいが生まれていたように思える。

これを書いた後で、週刊文春のバックナンバーを見たら1201号のCinema Chartに解説があった。
評者の得点は5点満点で、
品田雄吉4点、中野翠3点(4点に近いとのコメント)、芝山幹郎3点、斎藤綾子5点、おすぎ5点。
なかなかの高得点だった。
ATOMの顔が埴輪みたいだと思っていたのだが、品田、中野もそのことを指摘していた。
誰にでも薦められる映画だと思う。