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エマーソン・レイク&パーマー『WORKS(ELP四部作)』

ELP四部作+3(紙ジャケット仕様)

ELP四部作+3(紙ジャケット仕様)

iPodでランダムにアルバムを聴いていたらエマーソン・レイク&パーマー『WORKS(ELP四部作)』に行き当たってしまった。
実はこれは、リアルタイムで初めて聴いたELPのアルバムである。
ロックを熱心に聴くようなったころELPは活動休止中だったのだ。
LP2枚組で、メンバー3人がそれぞれのソロを各面で展開していて、最終面がELPサイドだった。

サイド1はキース・エマーソン。
全編を占めるエマーソン作曲・演奏によるピアノ協奏曲はなかなか素朴な味わいの叙情的な曲で今聴いても楽しく聴くことができた。
彼としてはかなり作曲に力を入れたものだったのではないだろうか。
ピアノ演奏も今聴くともっさりした印象もあるが、頑張っていると思う。

サイド2はグレッグ・レイク
エコーかかりまくりの空間に、甘い彼の弾き語りが展開する。
結構、歌心があってメロディーもいいので始末が悪い。
気色悪いがハマってしまう人も、もしかしたらいるのかもしれない。
これは知らない人に聴かせてどういう感想を抱くかちょっと聞いてみたい気もする。

CDで聴くとピアノ協奏曲からいきなりグレッグ・レイクの甘い熱唱の世界に突入するので、びっくりした。

サイド3はカール・パーマー。
これが興味深かった。
当時はこのサイドはあまり聞かなかったのだが、今となると変な意味で面白い。
1曲目はプロコフィエフの「スキタイ組曲」からである。
そこでパーマーはELPばりに、プロコフィエフの曲で思う存分ロック・ドラムを叩きまくってる。
私がこの曲を後に聴いたのはチェルビダッケ指揮のものだったが、あまりのテンポの違いに驚いた。
チェルビダッケが遅いのは当然(!)なのだが、ずいぶん違うものだと思った。

で、今回改めて「スキタイ組曲」カール・パーマー版を聴くと、すごいねこれは!
やたら金物を叩いて、ロールしまくり。
プロコフィエフで気持ちよさそうに叩いている。
ほんとヘンテコなドラマーだと思った。

どこかで、彼について“やたら派手で下品なドラミング”と書いている文章を読んだがそういう面もあるのかもしれない。

そして2曲目が「L.A.ナイツ」というパーマーによる曲(未確認)。
カール・パーマーなりにプロコフィエフを現代的に解釈した曲なのではないかと思われる。
ただ、イントロから非常に下世話感が満載。
なのだが、妙にスリリングで面白かったりする。
そしてクライマックスの展開!
なんともすごい曲だ。

4曲目はトーキング・モジュレーターをフィーチャーした妙な鳴り物を叩きながらの「ニューオーリンズ」。
5曲目はバッハの「2声のインヴェンション ニ短調」。何故、この曲を?
以下も妙な曲が続く。

最期のサイドがELPの部分。
今、ウィキペディアを見たらスティックスも「庶民のファンファーレ(市民のためのファンファーレ)」をデビュー・アルバムで取り上げていたそうだ。
知らなかった。アメリカン・ロックは聴かなかったもので。
ELPのほうは短縮版のシングル・バージョンがチャート2位にもなったそうだ。
これは何かで読んだ。
そして「庶民のファンファーレ」の次には、彼らの代表曲のひとつでもある「Pirates(海賊)」が収録されている。スケール感と力強さのあるいい曲ですね。

今聴くと、本当にバラバラのアルバムだなー。
『WORKS2』をよく出したものだと思うが、これは『ラブ・ビーチ』と同様、ビジネス的な事情なのだろう。

プロコフィエフもカール・パーマーからタイヨンダイ・ブラクストンまでいろんな人に影響を与えているものだと妙に感慨深かった。