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ゴドレイ&クレーム『イズミズム』

イズミズム+3(紙ジャケット仕様)

イズミズム+3(紙ジャケット仕様)

'79年に発表された『フリーズ・フレーム』を聴いてゴドレイ&クレームのアルバムを全て聴いてみようと思った。
↓『フリーズ・フレーム』の感想
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120302/1330682686

続けて『イズミズム』を聴くことにした。
『イズミズム』は'81年のアルバム。
これはリアルタイムで聴いている。
かすかに音の記憶が残っているので、今聴いてもさほど新鮮なものはなかった。
ただ、1曲目の「スナック・アタック」などで聴ける、気持ち悪くうねるベースに乗せて展開するラップは今聴いても独特の味がある。
ちっとも開放的でない、密室の隠微なファンクとでもいうのだろうか、人工的でフェティッシュな音世界はなかなかだった。
この妙な気持ちよさは今聴いても十分に魅力的だ。

ラップ自体、多分この時点でやっている人はあまり多くなかったと思う。
ちなみに、ラップを早くやった白人だとどんな人がいるかと思ってウィキペディアを見たら、
“ラップミュージックにとって皮肉なことは、アメリカで最初に実績をあげたラップミュージックは1981年に白人ロックバンドブロンディによってリリースされた「ラプチュア(Rapture)」であり、ラップの語源がRapture(ラプチュア)と混同されることが本国アメリカにおいて多々あることである。”
とあった。
ブロンディの「ラプチャー」……
http://www.youtube.com/watch?v=SIRG0QOEkyM
後半で一応ラップしてるんですよね。このユルくも怪しい世界は楽しいですけど。
そうすると、このアルバムでのラップの導入はかなり早いということになる。

ただ、ルー・リードならポエトリーリーディングというより、ラップ的といえる曲はすでにあったような気もする。
'78年の『ストリート・ハッスル』収録の「ストリート・ハッスル組曲」とかもラップといえばラップ的な感もある。
でも、やはり'86年の『ミストライアル』での「オリジナル・ラッパー」がラップとしての初めての曲なのかもしれない。
彼の気になるアルバムをiPodでさらっとチェックしただけなので、ほかにもラップ的な曲はあるような気もする。


前作『フリーズ・フレーム』は、フィル・マンザネラの『リッスン・ナウ』と音が近いと感じたが、今作では、ファンク調のカッティングくらいでほとんどギターサウンドはない。音の感触は『リッスン・ナウ』とはまた違ったものになっている。



ちなみに私は、村上春樹の短編「パン屋再襲撃」のタイトルは、1曲目の「スナック・アタック」から連想したものと思っていた。違ってたのだろうか?