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ゴドレイ&クレーム『グッドバイ・ブルー・スカイ』

グッドバイ・ブルー・スカイ+5(紙ジャケット仕様)

グッドバイ・ブルー・スカイ+5(紙ジャケット仕様)

元10ccのメンバーで'80年代にミュージック・ビデオの監督として活躍したゴドレイ&クレーム。
彼らのオリジナル6作目で最後の作品となったアルバム。
'88年の作品。前作『バーズ・オブ・プレイ』から5年ぶりに発表されたものだ。

これはリアル・タイムで聴いた。
アルバムのジャケットを見ると地中から突き出た腕がハーモ二カを握っている。
内容もそのまんまで、全曲にハーモニカがフィーチャーされた作品となっている。
地中から突き出た腕が示しているようにゴスペル、ドゥーワップ、ブルースといった土臭い音楽にオマージュを捧げたという感じのアルバムだが、当時聴いていてまったく引っかかるものがなかった。
今回、聴き返してもその印象は変わらなかった。
悪くはないのだが、面白くない。
なんでこんなものを、というのが正直なところだ。
個人的には彼らの6作になるアルバムでもっともつまらないアルバムというのが、私の感想だ。
正直、このアルバムについて、私は特に語るべきものはない。

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以下、彼らのオリジナル・アルバムを全て聴いてみての感想。
各作品の傾向がバラエティに富んでいることに改めて気がついた。
どれもゴドレイ&クレーム印はついているのだが、意匠はかなり違う。
そういった意味ではロック&ポップスの歴史の中でも異色の存在ではないかと思った。
ただ、どのアルバムも決定的な何かに欠けている。
妙な立ち居地にいる存在だ。
そして、なかなか言葉で説明しずらい。
変な人たちである。

そんなところだろうか。

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さらに追記。
アルバムごとに仕上がり、意匠が違うということについては2人は意図的にそれぞれのアルバムで“お題”を決めてアルバムを作っていたからかもしれない、などと後で気がついた。


あと『グッドバイ・ブルー・スカイ』を再び聴いて、思ったことがある。
一例として人の名前を挙げれば、仮にこのアルバムを当時のジョージ・マイケルがそのまま代わりに作ったとしたら、素晴らしいアルバムになったかもしれない。
そんなことあり得ないのだが、ふと思った。

やはり、曲も演奏、録音も悪くはないのだが、突き抜ける決定的な何かが足りない。
ジャケット写真のようにはなっていない印象だ。


何が足りないかといえば、音楽におけるタイム感、太さ、歌唱力などということにになるのだろうか。
うまく言えないが。
ギミックのない音楽だけに、それがあからさまになってしまったアルバムということかもしれない。