見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

10cc「愛ゆえに(Deceptive Bends)」

愛ゆえに+3(紙ジャケット仕様)

愛ゆえに+3(紙ジャケット仕様)

10ccからケビン・ゴドレイとロル・クレーム脱退後、グレアム・グールドマンとエリック・スチュワートによる10ccが’77年に発表したアルバム。

10ccで初めて聴いたのがこの作品だった。
ほぼリアル・タイムで聴いたはずだ。
当時はまったくピンとこなかった。

約30年ぶりに聴いた。
意外によかった。悪くない。
通してもう十数回は聴いた。現時点での感想を思いつくままに。
断片的にしか書きようのないアルバムなので。

◆当時聴いたときはまったく意識しなかったのだが、このアルバム、名盤といわれる前2作「オリジナル・サウンドトラック」「びっくり電話(How Dare You!)」よりもエレクトリック・ギターをフィーチャーしたアルバムだった。
異論のある人は多いと思うが、私はオーバー・ダビングによるツイン・リード・ギターを聴いてイーグルスを思い出した。リード・ギターの絡み、リズムセクションに乗せるフレーズなどドン・フェルダージョー・ウォルシュ加入後のイーグルスを彷彿させるところがある。「呪われた夜」が’75年、「ホテル・カリフォルニア」が’76年発表なので、サウンド的な影響はあったのかもしれない。
8曲目の「ユーヴ・ガット・ア・コールド」などのギター・サウンドはなかなかの聴きものだ。
全体としてストレートでポップなサウンドが並ぶ佳作集。という感じだ。
人によっては名曲集というのかもしれないが、私はそこまで思わない。

◆アマゾンのレビューにこんな指摘があった。
3曲目の「マリッジ・ビューロー・ランデヴー」のイントロとスティーリー・ダンの「プレッツェル・ロジック(さわやか革命)」のイントロがそっくりだ。グレアムはスティーリー・ダンの大ファンだったので引用したのでは、と。

プレッツェル・ロジック

プレッツェル・ロジック

まったく気づかなかったが、聴いてみたら確かに似ている。
ただ、それよりももっと似ているイントロがある。
オリジナル版では最後の曲だった9曲目の大作組曲「フィール・ザ・ベネフィット」だ。
このギターのアルペジオビートルズの「ディア・プルーデンス」そのまんまだ。
ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)

ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)

確かエリックはポール・マッカートニーと交流があったはず。オマージュ的なものなのだろうか。なかなかドラマチックな曲だ。
エンディングのリード・ギターは「いとしのレイラ」のエンディングのソロみたいでもある。

このアルバム、私の結論としてはポップな要素の強い’70年代ロックという感じ。

このアルバムを何度も聴いた後に、久々に「びっくり電話(How Dare You!)」聴いた。
やはりだいぶ違う。
素晴らしいアルバムと再認識した。

私は結論としては4人組だったときのラスト2枚のほうが好きです。