見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

文春0830

P14◆竹島領有権を主張する韓国 こんなに暴走して大丈夫?
ナショナリズムはこうも簡単に人を高揚させるツールなのかと感じさせた今回の韓国大統領の言動から始まった騒動。文春すら「大丈夫?」と書くくらいの暴走だ。“竹島遠泳”なるものは実は移動する“生け簀”の中を泳ぐものだとは、この写真を見るまで知らなかった。

P16◆ルーマニア発 聖心女子大生失踪 20歳美女“レイプ殺人”の惨
→新聞の記事で読んだ事件についての多少の内情が書かれてある記事。写真も多く載っている。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120821/1345512311
ルーマニアの首都ブカレストから鉄道駅に向かうタクシーに同乗した26歳無職男性が容疑者。言葉巧みに寄ってきたというのはあるにしても、夜の空港から知らない場所に向かうタクにーに見知らぬ人間を同乗させたというのも不思議な話だ。
15日夜に容疑者と出会い、17日夜に遺体が発見された。
16日から本人はツイッターで弟、知人とやりとりをしていたとのことだ。
だまされて拉致され、2日後に殺されたということだろうか。
“残された疑問は多い”で記事は締められているが、妙な事件だ。
事件とは別に気になったのが、現地に住むという日本人のコメント。「プラド(容疑者の名前)は『ロマ』と呼ばれる民族です。空港周辺では旅行者をカモに、詐欺まがいのことをする輩も多い」とのコメント。ロマとはいわゆるジプシーのことだと思うが、日本人ですらこういう差別的な発言をするということは、地元ではジプシーに対する差別はかなり残っていると思われる。

P22◆総力特集 驕れる韓国・中国をしめ上げろ! 
→リード文がすごい。
「こんな無法国家が二つも隣にあることの不幸を呪わずにはいられない。歴史を歪曲して竹島を占拠し、天皇に居丈高に謝罪を要求する韓国。そして尖閣諸島を奪いにかかる赤い帝国、中国……暴虐国家に対抗するために、日本は何をすべきか? ここに智慧を結集した。」
そこまでの智慧は結集していなかった。ただ、感情的、扇情的な文章は少なく面白く読めた。


P22◆天皇謝罪要求・竹島上陸 妄言大統領 李明博「暗黒の履歴」−肉親・側近20人が逮捕「カネこそわが命」
→「驕れる韓国・中国をしめ上げろ!」総力特集第1弾は李明博大統領についての記事。彼の履歴と今回の過激な言動の事情について。真珠湾攻撃のあった年、1941年に大阪の在日韓国人家庭に生まれる。終戦後、韓国に帰国。極貧生活を送りながら苦学して高句麗大学を卒業。財閥系の現代建設に入社、伝説的なスピード出世を遂げ、その後、政界進出、国会議員を二期務め、その後ソウル市長を経て2008年に大統領になったとのこと。ただ、この記事によると周囲の評判は悪いらしい。“大統領周辺は疑惑と不正のオンパレード”で今まで20人近くの側近、秘書が逮捕されたそうだ。大統領辞任後、逮捕後の確率は50%とある。“何の実績も残せず、退任後の逮捕も見えてきた彼が、最後の生き残りの手段として切ったカード……それが竹島であり、天皇への謝罪要求だったわけだ”とのこと。

P25◆日本人よ、反原発より領土問題に声を挙げよ 徳岡孝夫
→文章を書いているのは最近、存在を知った“保守派のジャーナリスト” 徳岡孝夫という人。この人の語る言葉には違和感を感じることが多いが、ここで語っていることは比較的まとも。
“英語のことわざに「愛国心はならず者の最期の砦」というのがある。国民から喝采を浴びたいと思う者は、最後に自分が外敵と闘う愛国者であるフリをする、という意味である”は、今回の大統領の言動をうまく説明した言葉だとは思う。ページの終わりには“どうすればいいか? 日本人には激情型の連中と違って遠慮がある。金持ち喧嘩せず。そのうち彼らも喧嘩疲れするだろう”とおとなしく締めている。
と、思ってページをめくったら“それでも何百回やろうが要求の通るはずのない反原発デモよりは領土問題に声を挙げるべきだろう”の言葉。論旨がつながってない! やっぱダメだ、この人。

P26◆韓国被害者アイデンティティーには未来がない 鄭大均
→ライターは首都大学東京人文科学研究科社会人類学分野教授。
日本、アメリカ、韓国での生活経験があるようだ。2004年、日本に国籍を変えている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%84%AD%E5%A4%A7%E5%9D%87
韓国人が日本人に持つアンビヴァレンツな感情についての文。“韓国の学校教育は、近代以前史における時刻の日本に対する「文化的先達者性」を強調するとともに、近代以降は「その恩を仇で返すかのように韓国を侵略した日本」という物語を語り続けている”とのこと。日韓の国交正常化(1965年)以降、「逃げの姿勢でその場その場をしのいでいこうとする日本」「そうした日本を逃すまいと襟首を摑んで要求し、糾弾する韓国」という構造がずっと続いていることを指摘、この構造が変わることが日韓関係の新しい正常化ではと締めている。

P27◆経済制裁発動で中国韓国を兵糧攻めにせよ 三橋貴明
→言うのは簡単だが、実際にやるのは難しいということを言っている。

P29◆竹島遠泳俳優主演韓流ドラマは歴史改竄だらけ 宮脇淳子
竹島遠泳に参加したソン・イルグクが主演したドラマ「朱蒙」について歴史についての描写がデタラメであるとする記事。ライターは東洋史家という女性。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E8%84%87%E6%B7%B3%E5%AD%90
東京外国語大学国士舘大学で非常勤講師をしているようだ。
ウィキペディアによると“チャンネル桜にたびたび出演し東洋史に関する解説をしており、その中国・朝鮮観は、反韓国朝鮮・反中国の保守層との親和性が高い。”とある。ただしこの文には(要出典)の注がついている。
この記事自体は“デタラメ”“改竄”といった言葉が目立つ文章。

P30◆金髪ギャルも押し寄せる韓国竹島観光ツアー 山本皓一
→ライターはフォトジャーナリストという肩書き。1943年生まれなのでかなりの年齢だ。日本の国境地帯の島の取材に力を入れていた人らしい。韓国からの“観光”として竹島を訪問したことを書いている。2006年に訪問したときは“愛国者の観光”といった趣で、乗客がマイルドセブンを吸っていたことで殴り合いの喧嘩となるほどのものだったという。だが、2011年に訪問したときは“瀬戸内海の観光地かと錯覚”するくらいの老若男女が訪れる観光スポットと化していたそうだ。

P32◆「橋下新党」は永田町ガラクタ市か−六本木の帝王からDV疑惑男まで
→選挙も強く、政治経験のある議員がほしいが、そうはうまく集まらないという記事。“問題議員”を数名あげている。

P34◆「減税日本」は脱税日本? 税金滞納、当て逃げ、薬事法違反…トラブル議員リスト
河村たかし名古屋市長の「減税日本」はすでにトラブル議員多数という記事。「候補者が足りないので、身体検査をせずに公認してしまい、次々に問題がでてくる。もちろん志のある人もいますが、中には民主党自民党から『問題あり』とはねられたような人物が第三極に流れ込んでいるのです」(政治部記者)とのコメントを紹介。

P36◆「みんな維新に行きたい」で解党危機!渡辺喜美“新党ひとり”に逆戻り

P37◆ついにマンUデビュー 裸の香川真司 宮城青春編 ギャルな彼女と土木科の番長たち スポーツライター 木崎信也
→読み物としては面白く読めた。この記事によると住んでいた神戸からある監督に心を動かされ、中一のときに単身で仙台にサッカー留学したそうだ。すごい行動力である。偏差値35の公立高校の土木科でヤンキーに囲まれての生活エピソードなどが“青春”という感じでちょっと心動かされた。しかし偏差値35でも当時の香川では合格が難しかったというのが、大物であることを感じさせる。頭の良し悪しでなく、興味がないのでまったく勉強をしていなかったのだろう。

P51◆飯島勲の激辛インテリジェンス 首相が一年で代わるのは官邸の黄金竹の呪いか
→公邸内のエクステリアについて。最後に「オレがもう一度官邸入りすることでもあれば、全部かえちゃうんだけどな」などとのたまわっている。

続きは追って更新。


P64◆本音を申せば 小林信彦 猛暑疲れ
ロンドン五輪の柔道・松本薫のことなど。ほか山田五十鈴深作欣二監督の「北陸代理戦争」をDVDで見た感想も。最後はこの作品について「決してすすめはしないが、どこかでやっていたら、覗いてみてほしい」。この人らしいまわりくどい薦め方だ。

P72◆近田春夫の考えるヒット いままでとちょっと違うくるりからロックンロールな陽気さが溢れる!!
everybody feels the same/くるり

→ここでのロックンロールの陽気さは今までとちょっと違うかも、と思わせる“存在の手応えを感じさせてくれるようにフィジカルな気配のある演奏であり録音である”とのこと。“ちなみにロックンロールとは酔っ払ってたりシラフじゃないときに聴くと一層楽しくなる音楽の総称だよん(笑)”とのこと。なるほど。ただ、この言葉危険なのであまり突っ込まないことにする。
RADWIMPS/シュプレヒコール
→特にメモを残すほどのものではない。
はみだしはお祭りについて。近所の山下町のお祭りでハッピを着て(来てとなっているが誤植でしょう)神輿をかついだとのこと。神輿の掛け声はアフタービートと気付いたそうです。知らなかった。

P76◆そのノブは心の扉 劇団ひとり 右曲がり
→ゴルフネタ。ゴルフ打ちっぱなしにいくがまたも自意識過剰のため……というネタ。

P122◆Cinema Chart
プロメテウス
→25点満点で18点。おすぎのみ5点。2点つけた人はいない。この映画、品田雄吉の言葉にあるように「壮大なスケールの大作だが、あまり壮大過ぎてピンとこない」という人が多いような気がする。私は、ピンとこないようなこところにピンとくる人なので楽しめました。
THE GREY 凍える太陽
→アラスカの雪原でのサバイバル映画。25点満点で15点。

P123◆春日太一の木曜映画劇場 メジャー会社日活の《総力戦》! 壮大に描かれる映画黄金期の終焉
→3週にわたり「戦争と人間」3部作を紹介した最後の回。“『戦争と人間』3部作とは、輝かしい時代の終焉をつげる壮大なレクイエムでもあった”で締めている。NHKのBSは小林正樹監督の「人間の條件」6部作をやたらと放送するが、こちらも放送してほしい。

P124◆今見るべき木下恵介 山田太一が選ぶ木下恵介映画トップ5
生誕100周年になる木下恵介。弟子ともいえる山田太一先生が5作をリストアップ。
1 日本の悲劇
2 楢山節考
3 香華
4 永遠の人
5 野菊の如き君なりき
このセレクトはちょっと一般的なものではない気も……。山田先生は“今見るべき木下映画”ということで、「二十四の瞳」からは見当もつかないような作品群も見てほしいとの意図があるようです。
ちなみにNHK BSプレミアムでは9/11(火)に「お嬢さん乾杯」を放送するようです。新藤兼人脚本による木下監督の才気あふれる演出が感じられる秀作です。多分、誰が見ても楽しめる映画だと思います。

P126◆ヨコモレ☆通信 辛酸なめ子 「江戸川区特産金魚まつり」老若男女が集う金魚の祭典
江戸川区は金魚の三大産地のひとつだそうです。毎年この祭りが開かれ金魚の展示即売や金魚すくいが行われるとのこと。金魚にハマるおじさんは盆栽マニアと雰囲気が似ているようです。「小学生金魚すくい王選手権」も開催。優勝した女の子は2分間で47匹すくったとのこと。

P126◆CD温故知新
今回はPassion Pitという米国のエレポップバンド(私は知らない)の新作アルバムとデュラン・デュランの「リオ」を比較。文中の“狼のような飢え(M4)の鋭さではなく〜”というのは4曲目の「Hungry Like The Wolf」という意味? デュラン・デュランのこのアルバムを知らない人は、多分意味がさっぱりわからないと思われる。

続きはまた後日更新。


P127◆町山智浩の言霊USA  4000 woman(4千人、ミック・ジャガーが抱いた女性の数)
ミック・ジャガー4000人。ジーン・シモンズ4897人、ウォーレン・ベイティ12775人、カストロ推定3万人! とのこと。
イラストは“悪の帝国 非モテの敵”として、カストロ大元帥(ラスボス)、ベイティ大将、シモンズ大佐、ジャガー少佐、そして日本から歩兵としてジェームス三木(!)と塩谷瞬が登場している。ジェームス三木に笑ったが、わからない人もいるのでは。

P129◆今週の必読 評者・冲方丁 アンドレア・ウルフ「金星を追いかけて」星の視点で世界を見ること
→「天地明察」の作者による力の入った紹介文。ただ、誰がどうしてどうなる話なのかは、この文章では今ひとつよくわからなかった。舞台は18世紀のヨーロッパ。“金星が太陽の前を通り過ぎるとき、この太陽系の謎が解き明かされる”というような話らしい。

金星を追いかけて

金星を追いかけて

P131◆新刊推薦文 「父と息子のフィルム・クラブ」デヴィッド・ギルモア
→息子の不登校を許す代わりに、映画評論家の父親は、週に3本一緒に映画を見ることを条件に出した−。実話を書いたものだそうです。どんな映画を選んだかちょっとラインナップを知りたい。

父と息子のフィルム・クラブ

父と息子のフィルム・クラブ

P131◆「あるキング」伊坂幸太郎
→ある野球チームの熱狂的ファンの両親のもとに生まれた主人公が、その球団に入って才能を発揮、という感じの物語と書いてある。これは漫画ですね。「男どアホウ甲子園」を初めとしてこの初期設定、過去の漫画に結構あった。小説ならではの読み応えがどうなのかちょっと興味深い。

あるキング (徳間文庫)

あるキング (徳間文庫)

P132◆著者は語る 津原泰水「猫ノ眼時計」
少女小説を書いていた人の幻想怪奇シリーズの3作目とのこと。感情が昂ぶると火を発する女、カメラに映らない友人など不可解な事象を中心としたストーリーが上質な短編にまとまっているそうだ。

猫ノ眼時計 (幽明志怪)

猫ノ眼時計 (幽明志怪)

P133◆漫画の時間 いしかわじゅん 漫画家漫画にハズレなし
東村アキコ「かくかくしかじか」を紹介。少女漫画家志望の少女が美大を受験する話で、変わり者の絵画教室の師匠との関係が描かれているとのこと。

かくかくしかじか 1

かくかくしかじか 1

P134◆私の読書日記 立花隆 借金人間、秀吉、人体実験
→世界経済についての本を2冊。
ポール・クルーグマン「さっさと不況をおわらせろ」

さっさと不況を終わらせろ

さっさと不況を終わらせろ

ケインズ政策(公共投資による景気刺激)について軽く触れている。著者はそのスタンスの人のようだ。
マウリツィオ・ラッツァラート「〈借金人間〉製造工場“負債”の政治経済学」の紹介では「私たちは、借金をしているのではない。金融資本主義によって、借金させられているのだ」という構造が見えてくる。と語っている。
〈借金人間〉製造工場――“負債

〈借金人間〉製造工場――“負債"の政治経済学

服部英雄「河原ノ者・非人・秀吉」は主題は中世の被差別民史だが、第2部では豊臣秀吉は「非人の世界に身を置きながら関白にまで上りつめた人」人なのだ。秀吉が多指(趾)症で六本指だった話もある。とのこと。また、「秀頼は実子にあらず」の論証もしているそうだ。ウィキペディアを見たらサリンジャー江青も多指(趾)症といわれていたらしい。知らなかった。

河原ノ者・非人・秀吉

河原ノ者・非人・秀吉

トレヴァー・ノートン「世にも奇妙な人体実験の歴史」ではさまざまな奇妙な人体実験が紹介されているそうだ。筆者が心臓の冠動脈に疾患をかかえ、カテーテルを血管に入れたままにして心筋梗塞を防いでいることも語っている。

世にも奇妙な人体実験の歴史

世にも奇妙な人体実験の歴史

P148◆私の「大往生」死は怖くない! 渡辺淳一 「失楽園」のように華やかに心中を
→この人の場合、死よりは性愛の方が重要なようで、現在はインポテンツをテーマにした小説を新聞で連載しているとのこと。「インポテンツになった男の再生を描く」そうだ。「俺はインポテンツだけど、みんな寄ってこーい! インポテンツでも前向きに頑張ろうよ」っていうところまでもっていけるようにしたい、と語っている。まさに中高年の多い文春読者向けの小説。

P152◆青学中等部「セレブ子女」いじめ 主犯格は大物女優の娘−女子トイレに閉じ込め服を剥いで写真撮影 「GTO」ソックリの陰惨な手口
→大物女優は誰かと思ってネットで検索してはみた。いろんなことが書かれているもんだと思った。

P160◆「私が一番悪い」日テレZIP!看板犬 熱中症死で飼い主が悲痛告白
→事故が起きたいきさつが書かれてある。仕事でたくさんの犬を使っているとき、車のエアコンの付け忘れによる過失致死ということなのだろう。

P163◆長澤、榮倉も参加 小泉今日子主催“最強女子会”で米倉涼子が泣いた夜
→泣いたということが事件というのでなく、そういう女子会があるという記事。

P164◆カーヴィーダンス樫木裕実「ジム独立」でB−21ヒロミが大ピンチ
→ヒロミがオーナーのジムに所属していたジムの社員だった樫木裕実が退社したということでの記事。

P166◆読売新聞「取材メモ誤送信」ネタ元警察官は自殺未遂していた!
→読売記者が取材メモをメールで他者の記者に一斉送信してしまった事件についての記事。なぜかナベツネの写真が大きめに掲載。読売ではあるが、現場のことなので関係ない気もするが。そして「小野一光 ノンフィクションライター」の文字の横に白髪頭の男性の小さな写真。初め、文字の位置から小野一光の写真かと思ってしまったが、読売新聞グループ本社社長の写真だった。まぎらわしいレイアウトだ。