マグマ『フェリシテ・トス』
- アーティスト: Magma
- 出版社/メーカー: Seventh Records
- 発売日: 2013/01/07
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- アーティスト: マグマ(MAGMA)
- 出版社/メーカー: セヴンス・ジャパン Seventh Japan
- 発売日: 2012/06/20
- メディア: CD
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ライブ盤を久々に連続して聴いた流れで入手、聴くことにした。
正直、あまり期待していなかったのだが、予想を裏切るいい内容だった。
小品ながら、これはマグマとしては新境地といえるアルバムのような気がする。
アルバムは「フェリシテ・トス 至福のトス(Félicité Thösz)」「諸人来たりて(Les hommes sont venus)」の2曲構成。
「フェリシテ・トス」は1分から5分程度の10のパートからなる組曲のような28分の曲。
「諸人来たりて」はLes Voix de Magmaによってすでに’90年代にライブ演奏されていたとのこと。この曲の一部を聴いた気がするのだがどのアルバムかわからない。ステラ・ヴァンデのソロかもしれないがまだ確認していない。
で、現時点での聴いた感想。
数分のパートで構成される組曲的な「フェリシテ・トス」が素晴らしい。
初めのパートはいつものドーン! という感じのおどろおどろしい曲なのだが、パートが変わるごとに曲調が驚くほど変わっていく。
序盤の地底でうごめく音楽で始まり、後半では天上に昇っていく驚くべき展開。
そして最後のパートはすべてを裏返した(逆回転された)ような不思議な響き。
特にパート9「Öhst」は、今までのマグマにはなかった曲のように思える。
クリスチャンのボーカルに導かれて、ズンチャッ、ズンチャッのリズムとユニークなコーラスの掛け合いが繰り広げられる草原のダンス・ミュージックの趣(私はこの類の音楽にくわしくないのでうまく説明できない)。
聴いたことのないようなめくるめく世界が展開する。
この笑ってしまうような高揚感に満ちた世界はすごい。
Félicitéは“至福”という意味のフランス語のようだが、まさに多幸感に満ちた盛り上がりだ。ちなみにThöszは私には意味不明。
ライナーに付加されたクリスチャンの日本盤に向けての言葉の一部を引用されていただく。
“私がこの曲に取り掛かったのは2001年、全力をつぎ込んで完遂した『Les Cygnes Et Les Corbeaux』の録音のすぐ後からです。至福の感覚に包まれ、直ちに軽妙で自在な瞬間が訪れました。曲は、澄み渡った流れのように、ピアノを弾く私の指先で紡がれていきました。(中略)あらゆる文明に存在する復活という概念、生命・場・自然・神々・それらの称揚。音が流れていくにつれて、さまざまな地方の祭儀と伝承が次々と姿を見せます。この曲はMAGMAの音楽に新たな局面をもたらすこととなるでしょう。潜在的に沸き続ける源泉としての。どうかこの辺りを存分に聴き取っていただけたらと思います”(対訳・宮本重敏)
宮本重敏氏がライナーノーツで「あたかも旅の列車の窓から見るように、さまざまな地域のこういった情景や、そこに暮らす人々の風習が次々と浮かんでは消える」と書いているようにこのアルバムは“音楽の旅”を感じさせる作品となっている。
セブンス・レコーズのアルバム紹介の文章に
「中央アジアの草原地帯を通り抜け、日本からウラル山脈へ導く旅(タマラ・モータウンへのオマージュも捧げつつ)」
(a trip which will lead you from Japan to the Urals via Central Asia with a detour to pay homage to Tamla Motown.)
とあっただが、まさにそんな仕上がりである。
マグマの演奏する草原のダンス・ミュージック!
マグマはまだまだ現在進行形のバンドだと認識。
「フェリシテ・トス」はおととしのフジロックでも演奏されたと思われる。
おととしのミュージック・マガジンで小野島大氏がマグマのことをちらっと書いていた。記憶に確信はないが、あの文章からすると「フェリシテ・トス」のパート9が演奏されたのでは。
このアルバムのアマゾンの商品説明はあまりに酷いので無視したほうがいいです。
クリスチャン・ヴァンデの『Les Cygnes Et Les Corbeaux』は未聴だったので、近いうちに入手して聴きたいと思う。
この文章は追って更新すると思う。
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後日、たまたまボロディンの「ダッタン人の踊り」を耳にしたときに、このアルバムのことを思い出した。ちょっと通じるところはあるような気がいる。「ダッタン人の踊り」は好きな曲だ。