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真樹日佐夫のエッセイ「真樹日佐夫の百花繚乱交遊録」

真樹日佐夫の百花繚乱交遊録

真樹日佐夫の百花繚乱交遊録

週刊実話に連載された真樹日佐夫の人物交友エッセイを書籍化したもの。
2009年9月発行。

其の一「三池崇史」から其の百「梶原一騎」まで100人との交友がつづられている。
登場する人物は多ジャンルに渡るが格闘技系、漫画系、オリジナル・ビデオを中心とする芸能系がメインとなっている。

真樹日佐夫の文章を単行本でまとめて読むのは初めてだった。
強面の風貌、その筋の人のような派手な服装、写真に写る威圧的なポーズからちょっと敬遠していたのだが、非常に面白く読めた。

文章は巧みでテンポよい。そして優しく男気ある人柄がうかがえる。
実は読んでいてかなり心打たれるところがあった。
「文は人なり」という言葉をこの本を読んでいても感じてしまった。
この人の場合、見た目の怖さに意識がいってしまうが、もしかしたらコミュニケーションにおける“受け”のうまい人なのではないかと。
著者自身が血の気の多い人であることは間違いないだろう。だが、この本を読んでいると相手の心情に気をまわし、後で自分の行動が軽率ではなかったかと反省するという箇所が多々ある。
一方的に、“俺様が〜”というタイプではない。相手が年長であれ年下であれ、気遣い、筋を通すということに配慮していることが文章のちょっとしたところからから伝わってくる。

大酒飲みで豪放でいながら、どんな人にも細かい気遣いをすることができる男気のある人柄。ユーモラスなところもある。そして驚くほど稽古熱心なこと。60歳を過ぎてからもしっかりと修練を積んでいる。
多くの人に慕われていたことが納得できる好エッセイだ。この人の著作はほかのものも読んでみたいと思った。

そして、最終的に感じたのは真樹日佐夫という人は、兄・梶原一騎と師匠である大山倍達が大好きだったということ。
2人を語る著者の言葉にはとても深い愛情と絆を感じた。
大山に関しては兄・梶原との関係が悪化したことや、晩年の極真の方向に対して思うところはあったようだが、嫌味たらしいことは書かない。
“その強さより洒脱さに魅かれて弟子入り”(P31)と書く著者の言葉に、2人の人間的なつながりを感じた。

登場する人物を列挙しておく。順番に意味はない。
この人物リストを見て興味を抱いた人には読んでみることを薦めます。
読んだ後、いい心持ちになれる本です。

【格闘技系】
ジャイアント馬場アントニオ猪木前田日明橋本真也、角田信明、藤原喜昭、千代大海龍二、魔裟斗大仁田厚ガッツ石松佐山聡シーザー武志芦原英幸、ユセフ・トルコ、石井和義北尾光司早千予アブドーラ・ザ・ブッチャー、添野義二、松井章圭緑健児武藤敬司伊藤隆小笠原和彦村上竜司、朝堂院大覚、盧山初雄タイガーマスク佐藤勝昭、ベニー・ユキーデ、杉原正康、藤原敏男大山倍達

【漫画系】
赤塚不二夫石井いさみ牛次郎、村上和彦、壁村耐三、影丸穣也上村一夫、神保史郎、一峰大二内田勝梶原一騎

【芸能系】
三池崇史崔洋一菅原文太松方弘樹松坂慶子夏樹陽子哀川翔竹内力細川ふみえ桜庭あつこ大槻ケンヂ浅草キッド岩城滉一内田裕也倉田保昭、力也、北野武、中山一也、斎藤智恵子、清水健太郎ジョニー大倉、小沢仁志、高須基仁岩城滉一、白冰冰、大和武士、桂歌蔵、吉川銀二宅間孝行、本宮泰風、吉田豪、永倉大輔、児島美ゆき高橋祐也ミッキー・カーチス、中島仁、ポール牧、栗原早紀、白竜、鶴田さやか、永井大、叶れい子、掟ポルシェ

【その他】
柳川次郎、猪瀬直樹、蛯沢賢治、清田民子、大津ひろ子、前田健治、百瀬博教、飛室イヴ、五味武、苫米地英人、高宝詳、長塚マサ子、飯塚則子