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三浦しをんの恋愛短編集「きみはポラリス」

きみはポラリス

きみはポラリス

読み始めて11冊目となる三浦しをんの小説単行本。2007年5月発行。
今回は書き下ろしではない。
巻末に初出・収録一覧というものがあり、著者によるこんな言葉があった。

「恋愛をテーマにした短編」の依頼が多い。
以下、依頼者からあらかじめ提示されたテーマを「お題」、
自分で勝手に設定したテーマを「自分お題」と表記する。
「お題」または「自分お題」に沿って書いた恋愛短編集を集めたのが、本書である。


この言葉に続いて各作品の、「お題」もしくは「自分お題」が書かれてある。
与えられた「お題」に対して「自分お題」を設定するような不遜なことはしていない。

今回もあまり集中して読むことができなかった。しかも読んでから1カ月近く経っているので読んだときの記憶もおぼろげになりつつある。しかも、私はジャンルとしての「恋愛小説」は苦手である。なので、あまりピンときたこともないのだが、彼女の作品については感想メモを残しておきたいので書くことにする。

「恋愛」をテーマに各社から発注された短編を集めたものと著者は書いていた。
だが、以前出た書き下ろしの中・短編集「むかしのはなし」「私が語りはじめた彼は」より一冊の本として読んだ後の統一感、余韻があるように感じた。

理由としては、以下のようなものが考えられる。

◆同じ登場人物による片思いのBLものの短編「永遠に完成しない二通の手紙」「永遠につづく手紙の最初の一文」を冒頭と最後に入れていること。
◆「きみはポラリス」という本のタイトルの喚起するイメージ。ポラリスというのは「北極星」のこと
◆最後から2番目に収録されている「冬の一等星」というタイトル。

それらもあり、作品全体の世界観を醸し出すことに効果をあげていたように思えた。
いつか時間があれば、しっかりと読んでみたい。

どうも、私がこの作家に期待しているのは、どうやら中・短編集や恋愛小説ではなく、
長編の人間ドラマであるようだ。そんな気がしてきた。
↓こちらは文庫版

きみはポラリス (新潮文庫)

きみはポラリス (新潮文庫)