石田スイの漫画「東京喰種トーキョーグール」全14巻、「東京喰種トーキョーグール:re」1~7巻

東京喰種トーキョーグール コミック 全14巻完結セット (ヤングジャンプコミックス)
- 作者: 石田スイ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: コミック
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拡大、暴走する作者の脳内妄想は近年の漫画でも際立っているのでは
先ほど感想メモを書いた「ヒカルの碁」と同時期に「東京喰種トーキョーグール:re」を読んでいた。
「ヒカルの碁」に“物足りなさ”を感じたのと対照的に、こちらはちょっとないほどtoo muchな内容だった。
too much過ぎて読むのにものすごく時間がかかった。
とても読みづらい漫画だと思う。
しかし、この漫画、絵の変貌はいったいどういうことなのだろう。
初期からするとむちゃくちゃうまくなっている。
ものすごくうまいアシスタントが入ったのだろうか?
ていうか絵のテイストが変わっているのはどういうことなのだろう?
作者や作品にまつわる周辺情報をまったく知らずに読んでいるので、大いに混乱した。
登場人物の性格づけも変わり過ぎである。
私は読んでいるとき、作者は女性ではないかと思っていた。だが、どうやらそうではないようだ。
そして絵だけでなくストーリーの暴走ぶりがすさまじい。
作者の脳内妄想のおもむくまま思いのたけをつづっているという感じである。ものすごく気合が入っている。
ここまで書ける人はなかなかいないと思う。
「東京喰種トーキョーグール」に関しては、第1部ということを知らずに読んでいたので、ラストには衝撃を受けた。
風呂敷をどんどん広げていったのだが、ラストではそれをまったく回収していない。
そしてラストに「第1部終了」という大きなクレジットはない。
まったく伏線の落とし所を提示せずに、物語を終えた漫画というのは失敗作を除くと今までにあったのだろうか。
すさまじい置いてけぼり感とともに、そんなことを思った。
ただ、連載時には第2部となる「re」が続いて始まることを提示していたのかもしれない。
私は「re」はスピンオフ的なもので、物語自体は完結するものと思っていたので、ともかくびっくりした。
「東京喰種トーキョーグール」を読み始めたときは「亜人」とアイデア的にダブるものを感じていた。
だが、こちらは作者の脳内妄想がエスカレートしてとんでもないところまで逝ってしまっている。
(これはほめ言葉です)
「亜人」は5巻くらいまで読んだが、まあいいかという感じで現在読むのは中断している。
第2部の「東京喰種トーキョーグール:re」の漫画表現については私のような年長の人間からすると興味深いところが多かった。
特にシーンとシーンのつなぎが唐突でめまぐるしい。
しかも並行で進行する。
まったく親切でないこま割りの展開である。
漫然と読んでいると意味がわからなくなってくる。
このあたりは、近年の映画で断片をつなぎあわせるような作品が増えてきた影響なのかもしれない。
この作者にはユニークな美意識と世界観を感じたので、引き続き読んでいきたいと思う。
今のところどう評価していいのか分からない作品、作者ではある。