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見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

原田章代 企画・監修「原田芳雄 風来去」

原田芳雄 ‐風来去‐

原田芳雄 ‐風来去‐

表紙には

“俳優、ミュージシャン、
鉄道マニアという
世に知られた顔はもちろん、
文筆や写真、描画、お燈祭り、餅つきなど
原田芳雄の全容が明らかに!
人に愛され、仕事に愛された
原田芳雄の人生がこの一冊に詰まっている”

の文字。

読んでみたが、まさにその通りの内容。いい本だった。

居酒屋のような自宅の居間の写真から始まり、遺作となった「大鹿村騒動記」についての話、家族や友人とのプライベート写真、代表作の厳選されたスチール写真、インタビュー、各映画に対する原田本人のコメント、原稿用紙に手書きで書かれた短編小説、イラスト、詳細なテレビ・映画・舞台の出演リストなどなど。
見どころ、読みどころ満載だ。
本人は台本を撮影後も保管していたようで「竜馬暗殺」「祭りの準備」「赤い鳥逃げた?」「火の魚」といった出演作の台本が自宅の座卓の上に並べられている写真も。表紙には“原田用”とか手書きの文字があったりする。

さまざまな監督と組んだ原田だが、やはり初期に多く組んだ藤田敏八、長年にわたり組むことになった黒木和雄、奇妙な演出で煙に巻かれた鈴木清順との仕事が心に残っていたようだ。この3人との関係についての記事が、コメントやインタビューもあり、非常に興味深い。

名シーンのスチールが何枚も載っているが、一番うれしくなったのが、「祭りの準備」のラストシーンの写真。原田演じる野人のような男が殺人容疑で警察に追われる中、江藤潤演じる主人公を見送るために駅に現れ、プラットフォームで「バンザーイ!」と叫ぶ場面のスチール写真が大きく載っている。

私はそれほどの映画好きではないが、この本を読んで楽しくもなり、しみじみとした気分にもなってしまった。

テレビドラマについても非常に充実。
原田がテロリストを演じ、渡哲也演じる大門圭介を殉職させた「西部警察スペシャルさよなら西部警察」のスチール写真まで載っている。

企画・監修をしているのは原田芳雄夫人の原田章代さん。長年、ともに暮らしてきた人の企画・監修だからこそ、ここまで充実した本が作れたのだろう。編集担当者も原田の長年の友人とのこと。
子供は2人いたようだが、娘をかなり可愛がっていたことが写真や文章からうかがえる。
子供が生まれてからの照れた行動に関しての記事などもほほえましい。
孫をもったおじいちゃんとしての写真も載っている。

2800円という値段だが、永久保存版といえる充実した内容だ。

全国の図書館に各1冊は備えて多くの人に読んでほしい本。
もちろんファンなら買うべき価値のある1冊。