見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

ロジャー・ウォーターズ「死滅遊戯」

すごいタイトルだが、原題は「Amused to Death」。
ソロになってからのウォーターズの代表作だ。
典型的な古いタイプのロックという感じだがやっぱりドラマチックでいいですね。
ゲストのジェフ・ベックが弾きまくって曲を盛り上げてます。

あまり指摘されることがないのだが、この人の歌声はかなり癖がある。
くぐもって、時にかすれ、時につばをためたように歌う声は気味が悪いのだが、妙に心に残る。

ピンク・フロイドの「原子心母(Atom Heart Mother)」のLPのB面の1曲目(古い話です)に
彼が歌う「イフ」というギター弾き語りの曲がある。
その中のフレーズ
「もし、僕が気が狂っても、君はまだ僕をゲームに加えてくれるかい?」
(And IF I Go Insane,Will You Still Let Me Join in with the Game)
というフレーズがあるのだが、Insaneという言葉を
聴いたときにその声の不気味な響きにぞっとした記憶がある(でもなぜか心地よかったりもする)。

私はボーカリストとしてのロジャー・ウォーターズのかなりのファンである。
ドラマチックに歌い上げるのも好きだ。かすれて足らないのだが、声を振り絞る感じがいい。
デビッド・ギルモアも歌うけど、ちょっと甘くなってしまう(彼の歌声も好きなのだが)。
ウォーターズの弾き語りだと「炎 あなたがここにいてほしい」のタイトル曲「Wish You Were Here」もいい。
こっちはブルース・シンガー・テイストですかね。
でも、今思うと、この2つの曲はどちらもモチーフは気が狂った元メンバーの故シド・バレットだったりする。

ロバート・ワイアットの歌声が無垢の輝きで注目されていたように
ロジャー・ウォーターズの歌声も不気味な暗さで注目されることはないものなのだろうか。
↓に続く。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20110819/1313721084