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見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

仲村みなみのストーリー創作指南書「どんなストーリーでも書けてしまう本」

脚本 書籍

どんなストーリーでも書けてしまう本 (シナリオ教室シリーズ)

どんなストーリーでも書けてしまう本 (シナリオ教室シリーズ)

シナリオセンターの講師によるストーリー創作指南書。
身もふたもないタイトルだが、それにふさわしい単純明快な作劇術の構成がいさぎよく、私は面白く読んだ。

ストーリーのタイプは4つしかない! として
(1)自分の意志で自分のために動く
(2) 巻き込まれて自分のために動く
(3) 自分の意志で他人のために動く
(4)巻き込まれて他人のために動く
上記、4つのタイプを紹介。
そこから作劇の方法を語っている。

表紙のイラスト4つがそれぞれを代表する映画のイラストである。
(3) の映画が何かは意外に難問かも。ほかはすぐに当てられるはず。

アマゾンの評を読むと評価はバラバラである。さらに内容評価と違った部分での書き込みもあり、なんだかいや〜な感じである。関わりたくない世界が垣間見える。

ただ、
わかりやすい言葉で単純明快に書いてあることを内容の浅さと判断する人もいるようだったが、それは違うのではないかと思った。
私の印象では、著者はハリウッド式の作劇術の本は相当読んで研究していると思われる。
「主人公は目的を持って行動をする」という大前提に基づいた作劇術だ。
そういったものを咀嚼した上で、自分なりのわかりやすい作劇指南書を書いていると思った。
ただ、この著作はドラマの構成(箱)について書いたものだ。その箱に何を入れるかということについて比重を置いていない。
何をどう構成するかを考えながら、イメージを膨らませて創作する人向けのものといえるかもしれない。
同じシナリオセンターの講師による「シナリオ錬金術」とは指南の方法が違う。「シナリオ錬金術」は具体的な例を挙げて、こうすると面白くなりますよ、と書いているので、読んでいるほうは誰でもわかった気になることができる。

いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術 (シナリオ教室)

いきなりドラマを面白くするシナリオ錬金術 (シナリオ教室)

「どんなストーリーでも書けてしまう本」は箱の話をしているので、抽象的思考から作劇を考える人には刺激となるかもしれないが、そもそも何を書いたらいいのか、具体的なヒントを求める人は、なんだかあたりまえの空論を展開しているように思えるのかもしれない。

誰にでもわかるようにわかりやすく書くと、こういう批判も受けるものなのかと思った。
そんなに悪い本ではない、むしろいい本だと個人的には思う。
明快で分かりやすいということは悪いことではない。
もしそこに欠点があるのであれば、それは自分でも認識しやすいはずだから。
自分にとってよいところを取り入れればいいのではないかと思う。
ただ、根底にしっかりしたもののないものは駄目ですが。

ただ、保坂和志的創作を考える人にこの本は向いていないことは一応、追記しておく。