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キング・クリムゾン「コレクターズ・キング・クリムゾン vol.10」

最近はキング・クリムゾンを聴くことはほとんどないのだが、
たまたま図書館にあったのが目に留まり借りてみた。

vol.10ということはこれまでこのボックスが9個発売されていたということなのだろう。
ライブ音源のボックスセットの第10弾というのもすごい。
これだけの音源を残していたのはロバート・フリップの意向なのだろうか。
しかし10弾まで出たということは、買っていた人がいたということなので、
日本でのクリムゾン信者の根強さにちょっと驚いた(皮肉でなく)。


私自身はプログレ好きでもあったので、さまざまなバンドを聴いた。
そして私的なプログレ体験においての番付としては、キング・クリムゾンとヘンリー・カウが“横綱”に位置している。
番付で言うのも変な話だが……

今でも時たま聴くバンド、もっと好きなバンドなバンドはたくさんある。
ゴング、マグマ、ファウスト、ノイ、ジェネシスピンク・フロイドなどなど。
だが、
上記2つのバンドが私のプログレ体験においては2大横綱だ。
そして「レッド」で解散するまでのライブ音源は以前に出たボックスセットで私もよく聴いた。

ただ、今彼らの'70年代のライブを聴いても、当時ほど心を動かされることはない。
もちろん、悪くないし演奏もスリリングだ。
ただ、強烈に引き付けられることはない。
あまりに聴きすぎてキング・クリムゾンの音が既知のものとして自分の中にできあがってしまったからかもしれない。

そして、非常に私的な感想としては、その後'70年代マイルス・デイヴィスのライブにおけるもっと“邪悪な”音を知ってしまったからのような気もする。
あのぶっとい邪悪な音を聴くと、クリムゾンの線の細さ(魅力でもあるのだが)が気になってしまう。
これはあくまでも個人的な感想なので、異論のある人は多いかもしれない。
気を悪くした人はすみません。

で、今回のボックスを聴いての感想だが、一番印象に残ったのが、ファンは興味を持たないと思われる
エイドリアン・ブリューが入った2000年ワルシャワのライブ。

デヴッド・ボウイの「ヒーローズ」のカバーを久々に聴き、笑ってしまった。

“ア〜イ、アイ・ウィル・ビー・キング……クリムゾン”
である。

ニコやさまざな人がカバーした名曲だが、その中でも郡を抜いて最低のカバーだと思う。

コレクターズ・キング・クリムゾン vol.10

コレクターズ・キング・クリムゾン vol.10