見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

パブリック・イメージ・リミテッド

現在、iPodでアーチスト名のPから順に聴いており、今日はPILに行き当たった。

'80年代前半、PILをリアルタイムで聞いていたころ、海の向こうにいるジョン・ライドンは私にとってのアマデウス、神がかった才能の人だった。
ロッキンオンなどのロック誌に載るインタビュー、コメントなどをつぶさに読み、
ABBA(アバ)を聴いている。奴らは最高だ」「日本人は蟻」など数々の放言に魅了されていた。

大学の英語の授業で読んだピーター・シェーファーの戯曲「アマデウス」を読んだ私は、
バカみたいな話だが「レッツ・ダンス」のころのデヴィッド・ボウイサリエリジョン・ライドンアマデウス、などとなぞらえていたのだ。

だが、その後、来日公演を見るなどしてすっかり心も離れた。
本国ではもろもろ芸能活動をしているなどと記事では読んでいた。
来日もしたということは知っている。
マーク・スチュアートと同様、小太りの体で頑張っていた
あいかわらずビールは飲んでいたと見に行った人から聞いた。

パブリック・イメージ

パブリック・イメージ

パブリック・イメージ・リミテッド「パブリック・イメージ」
久々に聴いたファーストアルバムはとても心地よく聴けた。
エフェクトのかけられたギターの音を聞いているとさわやかな音のシャワーを浴びている気分。
曲のシンプルさが聞いていて気持ちいい。

パブリック・イメージ・リミテッド「メタル・ボックス」
昨年読んだサイモン・レイノルズの長大な著書「ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984」は
'78年から'84年までのポスト・パンク・シーンを俯瞰した労作だが、
個性あるさまざまなミュージシャンが登場するなか、
そこでムーヴメントのヒーローであり、中心的・象徴的存在として扱われていたのがPIL、ジョン・ライドンだった。
ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984

ポストパンク・ジェネレーション 1978-1984

著者いわく、
メンバーが怠惰でなければ「メタル・ボックス」はロック史上比類ない名盤になったはずだ、
とか書いていたような気がする。(読書メモを取っていないので曖昧だが)
確かに捨て曲に思えるものが一部にあることをのぞけば素晴らしいアルバムだと今聞いても思う。
ジャー・ウォーブルのベース音はデジタルの軽いファイルに圧縮されても、それはそれでいい感じである。
「アルバトロス」「ポップ・トーンズ」は永遠の名曲だと思った。

「パリ・ライブ」は今は音源をもっていないのだが、久々に聴いてみたくなった。

「フラワーズ・オブ・ロマンス」を帰りに聴くことにする。

フラワーズ・オブ・ロマンス

フラワーズ・オブ・ロマンス

パブリック・イメージ・リミテッド「フラワーズ・オブ・ロマンス」
発売されたばかりのこのアルバムを聴いたころがジョン・ライドンを神がかった天才と思い込んでいたピークだった。
当時は情報量も少なく、なんとも形容のしがたい“非音楽”的なものにともかく衝撃を受けた。
なんだかわからないけどこれはすごい! と思った。
記憶はあいまいだが、衝撃的という意味ではすでに
ポップ・グループの「For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?」
ディス・ヒートのファーストアルバムを聴いていたと思う。
それでもこの「フラワーズ〜」は衝撃的だった。
なぜなら、さっぱりわけがわからなかったからだ。

後になってジョン・ライドンはミュージシャンではないということに気づいたのだが、
当時はそうは思わず、「メタル・ボックス」の音世界をさらに進化させたものだ!と思い込み(思い込もうとして)
何度も聴いていた。
今聞いてみると、うーん迷盤なのかなという感じだ。
この脈絡のなさはある種すばらしいが……
世の中的には現在このアルバムどう評価されているのだろう。


◆ちなみに思ったこと。
当時、“オルタナティヴ“という言葉が「フールズ・メイト」などでよく使われていた。
PILを聴いていて、今は使われることのない、そんな言葉を思い出した。
そういえば、“クラウト・ロック”などという言葉は当時は聞かなかった気がする。みんな、ジャーマン・ロックと言っていたと思う。
初めてそのことばを聞いたとき、“トラウト・ロック”と勘違いしてしまった。それじゃ、キャプテン・ビーフ・ハートだと突っ込まれた記憶がある。
パブリック・イメージ(紙ジャケット仕様)メタル・ボックス(紙ジャケット仕様)フラワーズ・オブ・ロマンス(紙ジャケット仕様)

トラウト・マスク・レプリカ

トラウト・マスク・レプリカ

追記
ファウストに「クラウトロック」というタイトル曲がありましたね。

Faust 4 (Bonus CD)

Faust 4 (Bonus CD)