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見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

三池崇史監督、伊藤英明主演の映画「悪の教典」


小説を読んだ流れで映画も見ることにした。
↓小説「悪の教典」の感想メモ。
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120817/1345226218

すでに見た社内のシネフィルの人間いわく、この映画は「三池崇史による園子温への挑戦状」なのだそうだ。
よくわからないが、彼によると東宝のような大メジャーでR15の過激な殺戮シーンを展開する作品が作れるんだ! ということを宣言した作品ということになるらしい。

今回は脚本を三池崇史監督自身が単独で手掛けている。

原作は上下巻の長大な作品だったが、映画化に際してはばっさりと事情説明を省くことでテンポよく物語を展開。
原作を読んでいない人は、逆に説明が少ないことで逆に原作に興味を抱くのではないだろうか。
ちなみに見た人間に聞くと、ストーリー展開上、特に説明不足という気はしなかったとのことだ。

冒頭からアナログ盤の「モリタート」の音楽が流れ、不穏な雰囲気で進む前半はなかなかよい感じだった。
クライマックスである、校内でのクラス生徒全員殺害のシークエンスは、文化祭準備のお化け屋敷のセットなども取り入れて、三池監督ならではのどこかB級感覚を思わせるテイスト。
谷原章介がふんどし姿になった初期監督作「極道戦国志 不動」を思い出してしまった。

ただ、ハイテンポで話が進むことで、物語に必要といわれる“葛藤”の要素がほとんど感じられないものとなってはいる。
その分、登場人物に感情移入はできないつくり。
見る側は伊藤英明演じるハスミンにも、殺される生徒たちにもあまり感情移入はできない。
私は次々と展開する殺戮を傍観者のように見ている気分ではあった。

不思議だったのはやたらと伊藤英明が裸になること。
ただ、「海猿」でもよく裸になっているらしいので、そういう芸風なのかもしれない。
闇の中、素っ裸で懸垂、腹筋をする姿にはちょっと笑ってしまった。

結局、印象に残ったのは
伊藤英明の妙に隠微な裸体と前半の不穏な雰囲気だった。

“あの伊藤英明が共感能力に欠けた大量殺人者を演じる”という意外性がウリの作品だと思うが、そういう意味では、そのお題目はクリアしていたと思う。

殺戮の夜、学内のバンドが練習を演奏を始めようとするシーン、なぜか映画では不良体育教師・柴原に扮した山田孝之がドラマソロを延々と披露する。柴原は原作のような卑劣な感じでなく、妙に格好良くなっていた。
あれは一体何だったのだろう。

結論としては、それなりに面白く見れた。
そして映画を見て、面白いと思えた人になら長大な原作もお薦めできると思う。
原作にはより深く広い世界がある。

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈上〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)

悪の教典〈下〉 (文春文庫)