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映像、書物、音楽などについての感想

構成・大塚英志、まんが・野口克洋「まんがでわかる物語の学校」

漫画 脚本 書籍

まんがでわかる物語の学校 (単行本コミックス)

まんがでわかる物語の学校 (単行本コミックス)

「物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン」(00)、
「キャラクター小説の作り方」(03)、
「ストーリーメーカー 創作のための物語論」(08)、
「物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座」(10)
などなど。

大塚英志は、創作を前提とした物語論の本を何冊も発表してきている。
彼の物語論については興味深く思っていたので、すべてではないが大体読んできたと思う。
ちゃんとチェックしていないので、どれがどうとはいえないのだが。

今回読んだのは「まんがでわかる物語の学校」。
構成・大塚英志ということになっている。

“まんが”ということで、“論”としては期待せずに読んだのだが、非常によかった。
これは便利だ。現時点までに著者が培った物語創作のための手法が非常にわかりやすく解説されている。
そして“まんがならではの適当さ”で使える部分をかいをつまんで作った構成になっている点がいい。
文章の“〜論”となると、どうしても内容の整合性、論の展開したあとの着地点もきちんと書かないわけにはいかない。
ただ、このまんが、そんなものはおかまいなしに、物語を創るために都合のいいアイデア、手法をかいつまんでさらっと提示しているだけなのだ。
創作のヒントとなるおいしい部分だけを読める内容となっている。

例えばジョーセフ・キャンベルの「原質神話」の三幕構成の説明について。
第一、二幕についてはさらにステップ1、2……と詳細に説明しているのだが、第三幕については唐突に省略。
わかりやすいクリストファー・ボグラーの「ヒーローの旅」の三幕構成の分析に強引に話をもっていっている。
使えるものは詳細に説明するが、使えないものは省略というドラスティックな内容だ。

著者が培った物語創作のためのアイデアのおさらいとしては非常に便利なものとなっている。
解説されているのは以下のような内容。

◆A.J.グレマスの「行為者モデル」を物語創作に援用するための手法
◆「行為者モデル」にタロットカードを組み合わせた手法
◆英雄誕生神話、貴種流離譚のテンプレートを使った手法
◆キャンベルの神話論とその構成を使った手法
◆アラン・ダンデスの「モチーフ素」を使った手法
◆ウラジミール・プロップの31の物語の構成要素を使った手法
◆簡単なキャラクター・アーキタイプの解説とその使い方

以上のことなどなどが図版、チャート図を使って解説してある。
非常にわかりやすく、“使える”内容だ。
プロップについては、かつて中条省平らが引き合いにだして物語創作論を展開していたが、私は読んでいてどうも釈然としなかった。
それに比べて、大塚のここでの物語論は断然わかりやすく、ともかく使える。

アラン・ダンデスのモチーフ素については、多分読んだことはあるが、忘れ去っていたので、それだけでもこの本を読んだかいがあったと思った。

欺瞞→成功、結果→脱出の試み
である。
この部分だけを読んでもどういうことかさっぱりわからないというのがいい。面白い。

物語創作の講師、理論家としては大塚英志は日本を代表するパイオニア的存在になるかもしれない。

ていうかもうなっているのか?


少なくとも本人はそう思ってるだろう。

ちなみに、大塚英志物語論は、保阪和志的創作論とまったく違うものであることを指摘しておく。
そして、凡人はあっちにいかないほうがいいと思う。

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