ロマン・ポランスキー監督の映画「ゴーストライター」
本当は「未来を生きる君たちへ」が見たかったのだが、
「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」が好評のようで、
シネマライズでは7時からの上映がそちらに取られていた。
そのため「ツリー・オブ・ライフ」と天秤にかけ「ゴーストライター」を見ることにした。
キネ旬などで、ロマン・ポランスキー久々の快作というような記事も多く見かけ、それなりに期待して見た。
おもしろかった。抜群にというほどではないが。
冒頭のフェリーの場面から、ポランスキーの語り口に引き込まれていった。
置き去りになったBMWを使って語る映像話法が見事だ。
その後でのナビの使いかたとかも。
ジャンルとしては社会派サスペンスといっていいのかもしれない。
原作小説を作家とポランスキーが共同で脚色したようだ。
ピアース・ブロスナン演じるイギリスの元首相の自伝を、ゴーストライターとして執筆することになったユアン・マクレガー演じる主人公(名前は出てこない)が、アメリカ当局のからむ陰謀に巻き込まれていくという内容。
社会的な陰謀にからむサスペンスということで、ポランスキーの代表作の一つ「チャイナ・タウン」のことを思いながら見ていた。
サスペンスの映像手法としては「チャイナ・タウン」を彷彿させるものもあったように思えた。
ただ、あちらが水のない町での利権をめぐるハードボイルド(ノワールっていうやつなんですかね)・サスペンスなのに比べ、
こちらの舞台は、重苦しい雲の下の荒涼とした海岸、雨の風景、雨に濡れたアスファルトの道、
とイメージ・ムードは正反対である。
映像話法が的確かつ滑らかでとてもわかりやすい。
旧世代の上手な映像の語り口を堪能した。
ラストもベタベタすることなく、あっさりと綺麗に締めている。
そんなに後を引く作品ではないが、見事な内容だった。
あとでレビューなどを見ると映画らしい映画を見たっていうコメントが多かった。
週刊文春でのおすぎは最高点で、今年今まで見た中では最高とコメントしていた。
“映画好き”の人に好評のようだ。
ポランスキーは俳優としても好きなのでまた何かに出てほしいところだ。
ただ、フランスからは出れないようなので難しいのかな。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の「記憶の扉」での警察署長役は素晴らしかった。
映画自体はむちゃくちゃ暗かったけど。
あっちのほうは後を引く映画だった。
アマゾンを見たらDVDは出ていないみたいですね。
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