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映像、書物、音楽などについての感想

ゴドレイ&クレーム『ギズモ・ファンタジア』

ギズモ・ファンタジア(紙ジャケット仕様)

ギズモ・ファンタジア(紙ジャケット仕様)

10ccから脱退したケビン・ゴドレイ、ロル・クレームが発表したファースト・アルバム。
'77年の作品。
当時はLP3枚組で発売された。
アルバムとしてまとめて聴いたのは今回が初めて。

現在、ゴドレイ&クレームの作品を続けて聴き直している。
聴いた順番は、
◆3rd『フリーズ・フレーム』('80)初めて聴いた
↓今回聴いた感想メモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120302/1330682686

◆5th『バーズ・オブ・プレイ』('83)初めて聴いた
↓今回聴いた感想メモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120318/1332085588


◆4th『イズミズム』('81)すでに聴いたことがある
↓今回聴いた感想メモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120317/1332003306

◆2nd『L』('78)すでに聴いたことがある
↓今回聴いた感想メモ
http://d.hatena.ne.jp/allenda48/20120328/1332907174

となる。
ラスト・アルバムの6th『グッドバイ・ブルー・スカイ』はすでに聴いたことがあるので、『ギズモ・ファンタジア』で彼らのオリジナル・アルバムは全て聴いたことになる。

で、今回の感想。

実は、私はこのアルバムが彼らの作品で一番気に入ってしまった。

ゴドレイ&クレームは、ギターに取り付けるアタッチメント“ギズモ”(ここでは“ギズモ”の説明は省く)を開発するために10ccを脱退、そしてそのデモンストレーションのアルバムとして発表されたのが『ギズモ・ファンタジア』である、と私は理解していた。

とんでもない誤解だった。

このアルバムは当初はデモンストレーション用から始まったのだが、そこから作業が止まらなくなり、音楽付きのオーディオ・ドラマとなったものだった。
その内容は、ブックレットの解説の冒頭に書かれてあるように
「怒り狂う自然に最後の闘いを挑む男の物語を描いた」ものである。
私は“ギズモ”アルバムということを意識せず、楽しむことができた。

2ndの『L』以降の屈折したポップスではなく、実にストレートな“歌”が多く、曲に勢いがある。
その歌がすごくいい。

アルバムの内容は、
LP1枚分が、ギズモのデモンストレーションと物語の導入的内容。いわゆるプログレを好む人なら気に入ると思う。
LPの1枚目が終わり、2枚目からオーディオ・ドラマが始まる。最初の曲「ファイブ・オクロック・イン・ザ・モーニング」への流れが本当に素晴らしい。シビれました。

今回のアルバム、曲もダイアローグも、もちろん対訳は必要だが、英語が苦手な私にも聞き取れるのがうれしい。

2枚目、3枚目は、オーディオドラマとそれに挟まれる歌ものの曲で構成されている。
オーディオドラマ部分についてはなんとも評価しがたいが、歌ものの曲がいい。

そしてLP3枚目の最後の面では「ブリンツ・チューン」と題した“ピアノ・コンチェルト”が披露されている。この曲は正直今ひとつだった。

ともかく、歌ものの曲が私は気に入った。コーラスとメロディー、曲の展開がとてもいい。もちろんサウンドも。
こんなにストレートでいい曲を彼らが作っているというのは、この後の作品を知っていると不思議に感じられるくらいだ。
ラスト・アルバム『グッドバイ・ブルー・スカイ』はオーソドックスな曲集だが、こちらとはテイストも違い、そして断然こっちのほうがいいと思う。


ちなみに、“ギズモ・パート”2曲めの「ウインド」の出だしは、バスドラ、スネアの入り方と低音の“ウインド”の入り方が、ビョーク『ポスト』の1曲目「アーミー・オブ・ミー」に似ている。

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