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中村圭子・編「やなせたかし メルヘンの魔術師 90年の軌跡」

やなせたかし (らんぷの本)

やなせたかし (らんぷの本)

やなせたかしの自伝を読み続け、ついに“やなせ研究本”まで読んでしまった。

編者は東京文京区にある弥生美術館の学芸員
↓こういう美術館です。
弥生美術館/竹久夢二美術館公式HP
中・高生のときに、やなせが責任編集をしていた「詩とメルヘン」を読んでいたようだ。

さほど、期待せずに読んだのだが、思いのほか面白かった。

カラー図版も多くアンパンマンの原画、「詩とメルヘン」を初めとしたやなせ先生が手がけた表紙など、先生の“絵”が楽しめるものとなっている。

先生の絵は確かに“大衆性とシュールな叙情性”が魅力といっていいのかもしれない。
多くの人に開かれた絵だと思った。

大衆性のある絵といっても、私はクリスチャン・ラッセンの絵とかはまったく好みではないが、この本に載っていた、やなせ先生の絵は気に入ってしまった。


この本で編者は、やなせ作品の特徴は素朴、シュール、ロマンティックと書いていた。

確かにそういう絵だ。
アンリ・ルソールネ・マグリットを思わせるような絵もある。

ほか、この本には「やなせメルヘン」とやなせ先生自らが名付けた短編絵物語が2篇掲載されている。これもなかなかいい。

今回、絵、文章を俯瞰してみて、改めて、やなせ先生の才能に感心した。
さまざまなタイプの絵が描ける人だ。

巻末に大人向けやなせ単行本のリストが載っていたので、いくつか読んでみることにする。