読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

見て読んで聴いて書く

映像、書物、音楽などについての感想

10cc『オリジナル・サウンドトラック』『How Dare You(びっくり電話)』

オリジナル・サウンドトラック+4

オリジナル・サウンドトラック+4

びっくり電話(紙ジャケット仕様)

びっくり電話(紙ジャケット仕様)

ゴドレイ&クレームのアルバムを全て聴いてみた流れで、彼らが脱退する前の10ccも聴いてみることにした。

10ccのアルバムは『愛ゆえに』('77)、『ミーンホワイル』('92)、『ミラー・ミラー』('95)については聴いていた記憶はある。私としては、特に惹かれる、特筆すべき内容ではなかった印象がある。

ゴドレイ&クレーム在籍時の10ccは『オリジナル・サウンドトラック』('75)、『How Dare You(びっくり電話)』('76)を聴いたような気もするが、はっきりと記憶していない。

今回、『オリジナル・サウンドトラック』『How Dare You(びっくり電話)』の2枚をかなり繰り返して聴いた。iPodでそれぞれ20回以上聴いたのではないかと思う。

いいアルバムであることは間違いない。
'70年代中盤に作れたものだが、今聴いてもあまり古さを感じさせない音に感心した。
これだけ音を作りこんだ内容のアルバムはそうそうあるものではない。

だが、今だに自分なりの評価ができずにいる。
1、2回聴いただけではアルバムのイメージがつかめず、10回以上聴いてやっと曲が自分になじんでくるというのは結構ある。
だが、今もアルバムを聴くごとに、印象が変わる。
音の作りこみが非常に凝っている。ともかく色んな音を細かく入れている。どこの音に比重を置いて聴くかで結構、印象が変わってくる。
そして、オールディーズ的なオーソドックスな曲とめまぐるしく展開する曲が交じり合ってアルバムに配置されているので、トータル的なアルバムのイメージが捉えずらい、という感じだ。
アルバムとしてのまとまりはないと思う。

アルバムのトータルな印象としては、10ccよりマニアックと評されたゴドレイ&クレームよりも錯綜した内容なのではないだろうか。
ゴドレイ&クレームの方が、“お題”を決めてアルバムを作った印象だ。

ただ、ゴドレイ&クレームと同様に感じたのが、エモーショナルな訴求力の弱さ。
意匠はこっているので複雑な展開、入りこんだ音構成の曲は楽しめるのだが、その分シンプルな曲になると聴き手に訴えかけるパワフルさに欠けるのは否めないと思う。
もちろん悪くはないのだが。

歌われているテーマは、やはりコミュニケーション不全、愛の不毛的なものが多かったように思える。イギリスにおける'70年代のナード(Nerd)的な人たちによるバンドという感じだ。

この2枚のアルバムで面白かった曲は『オリジナル・サウンドトラック』の1曲目の「Une Nuit a Paris(パリの夜)」、『How Dare You(びっくり電話)』の1曲目の「How Dare You」だった。
変なプログレという感じ。
どちらも脱退したゴドレイ&クレームによる曲だ。

また印象がまとまったら追記、修正する予定。

                                                                                            • -

しばらくして思ったのだが、10ccとクイーンの音楽性が近いことに改めて気付いた。
特にこの2枚は多重録音によるコーラスめまぐるしい曲展開など、ある時期のクイーンに非常に近いものがある。「Une Nuit a Paris(パリの夜)」なんて『オペラ座の夜』の「ボヘミアン・ラプソディ」あたりの感じもありますね。

一般的にはクイーンと10ccの音楽性の近さについての指摘があるかどうかは私は知らない。
音楽性がもろにかぶるわけではないので、異論のある人もいると思う。
メンバー同士の交流はあったのだろうか?

                                                                                            • -

また何度も聴いて思った。
『How Dare You(びっくり電話)』は傑作だと思った。

イントロのふざけたパーカッションとから導かれていくインストゥルメンタルの「How Dare You」。すごい曲だと思う。そして2曲めの「Lazy Ways」へのつながり。そして3曲目の「I Wanna Rule the World」。素晴らしいアルバムだと思う。